教育福島0204号(1997年(H09)07月)-050page

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博物館ノート

『加藤遠澤』

加藤遠澤という画家をご存知でしょうか。寛永二十年(一六四三)に江戸で生まれ、保科正之・正経・正容の三代の会津藩生に仕えた会津藩の御抱絵師です。

遠澤をご存じない方も狩野探幽という名には見覚えがあるのではないでしょうか。徳川幕府の御抱絵師としての狩野派の地位を確立させた江戸時代初期の巨匠です。遠澤はこの探幽に画技を学び、後には探幽門下の四天王の一人に挙げられるほどの画業を成した人物なのです。

遠澤は探幽晩年の弟子で、探幽が七十三歳で没した時、二十七歳の若さでした。探幽に師事した期間は八年間です。しかし師の画風をよく学び、山水・人物・花鳥の画題を描き、真体から草体までの筆法をよくこなしました。また、そのひととなりは清廉謹直と伝えられ、生涯独身で八十八歳の長寿を全うしました。

遠澤の作品は会津の人々に愛し伝えられ、現在でも多くの方が所蔵されています。しかし残念ながら、遠澤の知名度は決して高くはありません。そこで、県立博物館では、平成九年度第四回企画展「遠澤と探幽−会津藩御抱絵師加藤遠澤の芸術−」で遠澤を取り上げ、少しでも多くの方に遠澤を知って、触れていただきたいと考えています。

津湘八

津湘八景図

維

維摩図


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