教育福島0205号(1997年(H09)09月)-019page

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めている過程においても、おりにふれて何度か確認させる必要がある。

具体的には、四月の学級活動や学年集会等において、三年間あるいは各学年を通した進路学習の全体的な流れを確認させる時間を設定したり、年度の途中で、他学年の進路学習の成果に触れさせる場を設定するなどの工夫が求められる。

 

2 啓発的体験の重視

 

生徒の生活体験をはじめとする諸経験の不足が指摘されて久しい。特に、勤労に関する体験は、受験競争の過熱化、都市化の進行や少子化等に伴う学校、家庭における教育の変質、あるいは地域、家庭の変容とともに失われつつある。

進路指導において意義のある啓発的な経験とは、必ずしも特別な経験ではないが、それが進路にかかわる経験として意識されることがなければ、進路指導上の啓発的な経験とはならない。有効な経験とするためには、職業や勤労に関する体験が得られるよう指導することが大切になってくる。

平成九・十・十一年度、文部省の中学校進路指導総合改善事業実施要項には、事業推進地域における生徒の活動の具体例として次のものがあげられている。

(1)近隣の高等学校の訪問・見学・体験入学

(2)生徒とPTAとの懇談会・討論会

(3)卒業生や地域の社会人の講話の聴講及び懇談会

(4)地域の企業等における職場見学や職業体験

(5)地域の伝統工芸品等の製作

(6)地域の医療・社会福祉施設等における奉仕活動

(7)地域の環境美化のための奉仕活動

(8)地域の伝統文化との触れ合い

(9)地域や学校の諸行事における交流

現在すでに、多くの学校においてここに掲げた活動を自校の進路指導に取り入れ実践している。しかし、これらの活動がただ単に「経験」しているだけに終わっていないかどうか、それらの活動をとおして、生徒が本当に「職業や勤労に関する体験」を得ることができるような指導がなされているかどうかを、再検討する必要がある。例えば、地域の伝統産業の工場を見学したり、製作実習を行う活動として、陶芸に取り組んだ生徒が、「茶碗作りをした。じょうずにできた。おもしろかった。」という経験だけではなく、その仕事に携わる人の仕事ぶりをとおして、「使う人の立場に立って、材料を吟味したり、よりよいものを完成させるために何

 

(資料4)

第3学年保護者参加の学級活動実施要項

学級活動部

1.ねらい

(1)進路選択・決定の時期に望む生徒たちに、社会人からの体験に基づく話を聞かせることで、選路選択の方法や心構えを学ばせ、将来の職業に対する考え方や自分の生き方についての考えを深めさせる。

(2) (略)

2.実施時期 平成8年7月

3.内容 (略)

4.方法

(1)形式 学級内で高校の希望学科ごとに分かれ、分科会形式で行う。保護者は、それぞれの分科会に均等に参加してもらう。

(2)時間 基本時間は60分

(3)学級活動の基本的な流れ

1)本会の趣旨・概要説明(教師)

2)「卒業生と語る会」の感想発表(生徒)

3)話し合い 分科会

○学科を選択した理由 ○学科の授業の特色 ○希望する職種 ○高校卒業後の進路 ○受験勉強の仕方

※保護者は、親の立場で子に願うことや希望すること、また人生の先輩としての生き方についてアドバイスしたり、職業人としての仕事のきびしさや楽しさなどについて語る。

4)教師の話

(4)保護者の参加の仕方

1)方法1:教師指導 生徒活動 保護者の交えた活動 教師指導

2)方法2:教師指導 保護者の交えた活動 教師指導

3)方法3:生徒活動 保護者の交えた活動 教師指導

4)方法4:教師指導 保護者の交えた活動 保護者講話 教師指導

(以下略)

 

※平成6・7・8年度中学校進路指導総合改善事業実施校

福島市立信陵中学校 第3年次研究発表会 研究資料2)より抜粋

 

 

 


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