教育福島0205号(1997年(H09)09月)-020page

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度も作り直したりしていた。」等の「職業や勤労に関する体験」が得られるような指導がなされているかを、よく検討してみることが大切である。

このような体験を、いろいろな活動を通して得ることによって、生徒たちは、たとえその職業に就きたいとは思わなくても、職業そのものや働くことについての重要な情報を得たことになり、自分の生き方や職業観を少しずつではあるが着実に確立していくことになるのである。

 

3 保護者との連携の深化

 

各学校では、進路指導に対して保護者の理解を得るために、以前にも増してより多くの機会を設ける努力をしてきている。しかし、進路指導の核心である「生き方」の指導についての理解がまだ十分に得られず、生徒を取り巻く地域社会や家庭では、学歴や職業に対する偏った認識があるのではないか、という懸念もある。

このような状況の中で、保護者の理解と協力を得ながら、生徒が将来の職業や生き方について考え、それらの選択可能性に対して正しい認識を持つように指導していくためには、次の点に留意することが必要である。

 

(1)進路指導の目指すところを、あらゆる機会を通して保護者に伝え、理解と協力を得るよう努めること。

 

その際の基本的な考え方として、進路指導の目的を達成するためには、教師の指導ばかりでなく、保護者の社会人、職業人としての貴重な経験や体験を生かすなど、保護者とともに進める進路指導の重要性について、理解を得るように努めることが大切である。

 

(2)保護者との情報の共有化を図る時期と方法、内容について十分考慮すること。

 

これまで、進路に関する情報は、三年生の保護者に対して、卒業生の進路状況や受験生を持つ保護者の心構えなどを、保護者会や三者面談をとおして提供されることが一般的であった。これからは、学校の進路指導の目標や計画、生徒が行っている進路学習の内容やその状況等の幅広い情報を伝えるとともに、学校から保護者への一方通行の形ではなく、教師も保護者から情報の提供を受ける姿勢で進めることが大切である。

さらに、これらの情報を「進路便り」などの文書によってやりとりするばかりでなく、授業参観や保護者参加の学級活動、親子討論会、保護者の職場への訪問等の機会を設け、様々な活動を行う子供の姿を通して保護者に伝え、理解と協力を得る必要がある。

 

(3)保護者とともに進める進路指導の観点から指導における連携を可能な限り推進していくこと。

 

保護者の持つ、職業人あるいは家庭生活の担い手としての貴重な経験や自分なりの考えを引き出し、生徒が、職業や勤労、将来の生き方や生活について理解したり、考えたりする際の指導に生かすことが必要である。

 

(資料5)

子供たちの生活体験の状況(「1回も経験したことがない」と回答した者の比率)

 

E2年生)2,249人を対象にアンケートを実施(昭和59年もほぼ同様の方法による)。

 

注)平成7年度については、1都5県の小学生(4・5・6年生)、中学生(1・2年生)2,249人を対象にアンケートを実施(昭和59年もほぼ同様の方法による)。

資料)「子供たちの自然体験・生活体験等に関する調査研究」(青少年教育活動研究会)による。

※文部省 21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第一次答申)より抜粋

 

 

 


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