教育福島0205号(1997年(H09)09月)-034page

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特集3

 

福利厚生の充実

「教職員の健康管理」

成人病の予防と対策

生活習慣病

 

脳卒中、がん、心臓病などは「成人病」と呼ばれていたが、近年、成人病の発症には生活習慣が深く関与していることが明らかとなってきている。

生活習慣を改善することにより、疾病の発症・進行が予防できるという意識を国民に普及させ、行動に結びつけて行くために、生活習慣に着目した「生活習慣病」という概念の導入が平成8年の公衆衛生審議会において提言された。

 

福利課

 

成人病とは、加齢とともに現れる老化現象を背景にした病気のことで、代表的なものにがん、心筋梗塞、脳卒中や糖尿病、肝臓病、高血圧などがあります。

これらの成人病は共通して、

・人には直接感染しない

・中高年層で多く発病する

・自覚症状がなく徐々に進行する

・生活や習慣に密接に関係する

という特徴があり、「生活習慣病」ともいわれています。

日常生活での、食事、運動、休養、ストレス、喫煙などに対する取り組みが大切です。

 

1 生活習慣からくる成人病

 

現在、日本人の三大死亡原因は、悪性新生物(主にがん)、心臓病、脳血管疾患であり、これらで死亡原因の約六〇%を占めています。心臓病の中でも増えているのは、心筋梗塞などの虚血性心疾患で、また、脳血管疾患では、動脈硬化にともなって起きてくる脳卒中が増えているので、現在、がん、心筋梗塞、脳卒中が三大成人病といわれているゆえんでもあります。

成人病は、加齢にともなって起きてくるものです。人間は不老不死ではあり得ない以上、必ず加齢にともなう老化は訪れます。老化はこれといった自覚症状がなく、例えば、五十〜六十歳になり、疲れやすく、根気がなくなり、体力の衰えを感じ始めたりして気がつく程度ですが、この老化のスピードは万人平等ではありません。それは、もって生まれた素質と、今までの生活習慣の蓄積によるものです。すでに十歳代の成長期からその差がついています。

経済的繁栄にともない生活は向上し、十分な栄養がとれるようになった昨今では、摂取エネルギーは十分なのに、消費エネルギーは低下してきています。中年以降の体重増は、体脂肪の増加を招くだけで、いわゆる肥満に傾いてきます。このようなバランスの乱れが、中年以降に高血圧、糖尿病、高脂血症を引き起こします。これらは自覚症状はなく、それ自体は致命的な病気ではありませんが、動脈硬化を始めとするからだの老化を確実に促進させていきます。このような状態を放置して、さらに喫煙やストレスなどが加わると、その結果が致命的な病である、がん、心筋梗塞、脳卒中につながっていくのです。

最近、高血圧や高脂血症、糖尿病は、遺伝的因子が関与していることもいわれていますが、中高年から多く発症してくることからみても、生活習慣が関与していることは間違いありません。

 

2 三大成人病の予防

 

三大成人病といわれる、がん、心筋梗塞、脳卒中は、症状が出てからの治療はきわめて困難です。したがって、なによりもまずは、予防が大切です。

 

(1)がんの予防

 

1)どうしてがんになるか

 

ア 遺伝子と発がん物質

 

がんの発生には、遺伝子の異常が関与しているといわれています。人間の遺伝子の中には生まれながらに発がん遺伝子が含まれていますが、もう一つがん抑制遺伝子があるために、がんの発生が抑えられています。しかし、遺伝子に突然変異が起き、その抑制遺伝子の欠損が起きることにより、細胞ががん化するというのが最近の考え方で、やはり長い間さまざまな刺激にさらされて生きている限り、がんが出てくるのは避けられないようです。

寿命が伸びれば、成人病であるがんが増えてくるのは当然ですが、死亡数割合の年次推移は各臓

 

 

 


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