教育福島0205号(1997年(H09)09月)-036page
◇乳がん
月一回、日を決めて(閉経前の人は生理終了の約一週間後)自己検診をします。また、年一回の検診をお勧めします。乳首から血性の分泌液が出たときは要注意です。
◇皮膚がん
悪性黒色腫が多いので、やや厚みをもった黒色斑が急速に大きくなるときは、すぐ皮膚科を受診しましょう。直射日光を浴びることは極力避けましょう。
◇甲状腺がん
のど仏の直下に硬いしこりをふれたり、声がかすれてきたときは外科を受診しましょう。
イ 検診より予防が重要ながん
◇肺がん
まず、禁煙。検診で無症状で発見されたがんは治癒率は高いのですが、検診だけでは肺がん死亡の減少は望めません。検診は、非喫煙者については、年一回のX線検査、喫煙者の場合は(禁煙後も十〜十五年間)半年ごとのX線検査と喀痰細胞診検査をお勧めします。
◇肝臓がん
C型およびB型肝炎ウィルスを有していない人は、ほとんど心配はいりませんが、年一回の超音波検査をお勧めします。B型・C型肝炎ウィルスによる慢性肝炎のある人は主治医を決めて、年三〜四回(B型のキャリアの人は、半年ごと)の超音波検査と血液検査をお勧めします。
◇食道がん
内視鏡またはバリウムによる上部X線検査が用いられますが、早期がんの発見は、必ずしも容易ではありません。因果関係が高いといわれるたばこと強い酒を避ける一次予防が大切です。
ウ 毎年の検診が有効ながん
◇胃がん
内視鏡またはX線検査が、大変効果的ですので毎年検診を受けましょう。
◇大腸がん
免疫学的便潜血反応が陽性の場合は、精密検査を受けましょう。さらに二〜三年に一回内視鏡検査が受けられれば、より効果的です。
◇腎臓がん
腹部超音波検査が早期発見に適しています。
◇胆のうがん
毎年、腹部超音波検査を受けることにより、早期発見の確率が高くなります。
◇すい臓がん
腹部超音波検査を受けることが最良の方法ですが、早期発見は困難なことが多い現状です。
◇子宮がん
子宮がんは頸部がんと体部がんがあり、日本人は頸部がんが多いとされています。通常の検診は頸部を対象とした子宮膣部細胞診を行います。不正出血があったり、内診で子宮腫大を指摘された人は、体部がん検診も受けるとより効果的です。
◇前立腺がん
検診としては、血液検査で前立腺特異抗原を測定します。高値ならば泌尿器科で精密検査を受けることになります。
(2)心筋梗塞の予防
1)どうして心筋梗塞になるか
心筋梗塞、狭心症に代表される虚血性心疾患は病気になって治療するよりも、日ごろから病気にならないよう、予防することが重要です。
この病気の発生には、動脈硬化がかなり関与しています。現在動脈硬化の危険性が最も高いといわれているのは、高血圧、高脂血症、糖尿病を併せてもつ人たちで、特に中高年に見られる内臓脂肪増加型の肥満の人に高率に起きています。これに喫煙やストレス、攻撃的あるいは厳しい性格が加わると、さらにその危険は高まります。
虚血性心疾患の危険因子
・高血圧
・喫煙
・お酒の飲み過ぎ
・肥満
・脂肪分の多い高カロリー食を中心とした栄養のアンバランス
・運動不足
・ストレス
・厳しく、攻撃的な性格
2)心筋梗塞の対策
胸部前面の締めつけられるような痛みや、少し動いただけでの息切れ、不整脈が頻発するなどの症状のある場合は、まず、医療機関で精密検査を受け、治療の必要性の有無を確認する必要があります。
しかし、虚血性心疾患の多くは事前の症状は乏しく、突然の発症がほとんどなので、動脈硬化の予防に努めるのが最も効果的な対策となります。中高年の健康診断では、次の項目をしっかり行うこと