教育福島0205号(1997年(H09)09月)-040page
研究実践
研究主題
一人一人が生きる学習指導
広野町立広野小学校
一 主題設定の理由
小学校教育の今日的要請として、「社会の変化に主体的に対応できる心豊かな人間の育成」が掲げられている。そのためには、新しい学力観に立つ学習指導として、個性教育の推進や主体的学習態度の育成が大切である。
そこで本校では、このことを踏まえ、児童自らが学びたい問題を自分の考えで解決し、その中でお互いのよさを認め合えれば、主体的な学習態度が育成でき、自分のよさをのばすことができると考え、標記主題を設定した。
二 研究の仮説
本校の教育目標、子供の実態と学習環境、そして研究主題に基づいて次のような仮説を設定した。
科学的な見方や考え方を深め児童のよさを伸ばすために、
(a)自ら問題を見つけ、意欲的に解決に取り組むための動機付けを工夫する。
(b)観察や実験を重視した問題解決的な学習を展開する中で、適切な支援を行う。
(c)個のよさを生かすためT・Tなど多様な学習方法や学習形態を工夫する。
三 研究内容
(1)年次構想
八年度は、三次計画の第二次二年目として前年度までの研究を踏まえながら、「個のよさを生かす多様な学習方法や学習形態の工夫」「表現力の育成」に焦点をあて研究を進めた。
第一次(平成六年度)
「意欲的に問題を見つける動機付けの工夫」
「学習材料の開発や多目的スペースを活用した授業」
第二次(平成七・八年度)
「実験観察を重視した問題解決的な学習過程の定着化」
「表現力の育成」
「個のよさを生かす多様な学習方法や学習形態の工夫」
第三次(平成九年度)
「一人一人の追究を広げさせる工夫」
「一人一人のよさを伸ばす評価」
(2)仮説検証のための手立て
(a)について…児童の実態調査、弾力的な指導計画の立案、教材提示の仕方の工夫
(b)について…学習過程の定着化、実験観察の重視、表現力の育成、支援の在り方
(c)について…児童の願いを生かした学習方法や学習形態、T・Tの導入
四 研究の実際
(1)各学年テーマ
1)第三学年
生活経験をもとに、自ら問題を見つけ、事象に働きかけようとする子供を育てる理科学習
2)第四学年
見い出した問題を、自分の考えをもって解決していこうとする子供を育てる理科学習
3)第五学年
自分の考えをもち、進んで問題解決する子供を育てる理科学習
4)第六学年
自分の考えを深めながら、主体的に問題解決する子供を育てる理科学習
(2)第六学年による授業実践例
1)単元名 電気のはたらき
2)テーマに迫るための授業の構想
児童一人一人が自分のよさを発揮し自分の考えに基づいて追究できるよう次のように場の構成を工夫する。
・意欲を高め、問題意識をもつための場
・記録を通して考えを深めたり整理したりしていく場
・結果の情報交換によって自分の考えを深める場
・問題意識の強さによって順序を決めて追究していく場