教育福島0205号(1997年(H09)09月)-043page

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めてみました。

(表1)の障害種別では、情緒障害及び精神薄弱についての相談が多く、形態別では来所相談で情緒障害、巡回就学相談で発達に関する相談、すなわち精神薄弱に分類されるもの、また、地域相談室相談では、病弱・虚弱、聴覚に関する相談が多く、それぞれの形態での特徴が読み取れます。

(表2)の来所相談における情緒障害の内訳では、不登校、学習障害の疑いに関する相談がここ数年来増加の傾向にあり、学校現場での問題の多様化や対応のむずかしさが相談の過程の中で浮き彫りになっています。

 

四 相談の始まり

 

相談の、ほとんどは来所相談ですが、相談の申し込みに際して、先生方や保護者から次のような照会があります。

(Q)・養護教育センターの場所はどこですか。

(A)・国道四九号線を会津方面へ向かい、郡山インター手前の信号を右折した所にあります。

(Q)・相談では、教員だけの相談でも構わないのですか。

(A)・様々な障害に対してのかかわり方などを一緒に考える機会として多いにセンターを活用して下さい。

(Q)・対象児の就学先や、現在学校に在籍している子供の措置変更などの判断や結論を得られるのですか。

(A)・子供たちの就学や措置変更については保護者にその責任があるとの考えから、養護学校及び特殊学級等教育課程等の情報の提供が中心となります。

(Q)・医療とのかかわりはどのようになっていますか。

(A)・福島県心身障害児総合療育センターの精神科医をセンターの嘱託医としてお願いし、月の第四金曜日に相談を行っています。

また、必要に応じて保護者及び担当教師が一緒に医学的な診断等を聞く場を設定しています。

(Q)・最初に子供と保護者を相談に出向かせたいのですが。

(A)・相談に出向く目的を、きちんと保護者に理解していただき、結果を急ぎすぎないようにすることが大切です。

 

五 相談の一事例から

 

F君は現在小学校一年生です。学校へは楽しく通っています。しかし、授業参観等での様子から学習面や集団行動面でみんなについて行けないことをお母さんは感じていました。そんな折、テレビの療育相談を見て、我が子により適した「学習の場」が他にあるのではないかと考え相談に来られました。

 

このケースについては、以下のことに配慮しながら相談を進めました。

 

・母親が我が子につまずきがあることを、どの程度受容しているのか、見極める。

・どんな教育を施したいのかを引き出す。

・母親の知りたい情報は何かを明確にしながら相談を進める。

・学校での様子等、学級担任との連携の在り方について考える。

・選択肢を複数提示し、より適切な「学習の場」を選択できるようにする。

・教育の場の変更により家庭生活に変化が生ずるか(送迎等)等を確認する。

初回から何回か相談を繰り返し、まずは、実際に学校見学ということで、特殊学級二校(精神薄弱、情緒障害)及び精神薄弱養護学校二校を見学しました。

その結果、養護学校の教育内容がお母さんの願いに近く、措置変更について、在籍校の担任の先生に相談をすることになりました。

二学期には、このお子さんの実態に応じた教育を受けることができ、親も子も安心して通学できるものと期待しております。

障害に気付き、不安や悩みを少しでも和らげるような相談を大切にしながら、そして、何よりも一人一人の子供が幼稚園や学校で、障害があってもその子に応じた力が発揮できる場、すなわち「安心できる居場所」のある生活を送ること第一に考えることを大切にしながら相談を進めています。

 

 

 


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