教育福島0206号(1997年(H09)10月)-021page
3) 養護教育
心豊かでたくましい児童生徒の育成
〜交流教育の充実〜
一 はじめに
養護教育諸学校では、心豊かでたくましい児童生徒を育成するために、自ら学び、自ら考え、主体的に行動できる「生きる力」を育むことに努めています。
養護教育における「生きる力」とは、児童生徒の生活経験を広げ、意欲的に課題に立ち向かい、自分なりに解決しようとする資源や能力であり、同時に、社会参加・自立に向け、積極的に自己実現を目指す力ととらえることができます。
ここでは、この「生きる力」の育成のために、今年度から始めた「であい ふれあい サポートプラン」に触れながら、交流教育の充実に取り組んでいる盲学校の実践を紹介します。
二 交流教育の充実
(一) 交流教育とは
交流教育とは、一般的には、障害のある児童生徒が障害のない生徒と一緒に授業を受けたり、行事に参加することを言います。この交流教育は、障害のある児童生徒だけでなく、すべての児童生徒の豊かな人間性や社会性を育成する上で大きな意義があると言われています。これは、多くの交流実践からも裏付けられています。
これまでの、盲・聾・養護学校における交流活動は、どちらかというと、学校を基点とした地域での活動を中心に行われ、障害のある児童生徒が、学校を出て、積極的に多くの人々と出会い、様々な体験を得る機会は多くはありませんでした。
また、地域社会の人々にとっても、障害のある児童生徒などに対する認識や養護教育についての理解を図ることが十分でなかったように思われます。
(二) 「であい ふれあい サポートプラン」の実施
そこで、これまでの交流方法に加え、平成九年度から盲・聾・養護学校の児童生徒などが、学校から出て、積極的に多くの人々と出会い、ふれあい及び自然体験や社会体験を通して、「生きる力」を育み、社会参加・自立するのを支援するため、「であい ふれあい サポートプラン」を八校で実施することにしました。
であい ふれあい サポートプラン」実施校
○盲学校(※)
○聾学校福島分校
○聾学校会津分校
○西郷養護学校
○会津養護学校
○平養護学校
○会津養護学校竹田分校
○あぶくま養護学校安積分校
〔※印校は、交流教育地域推進事業の指定校でもある。〕
三 交流教育の実際
〜県立盲学校と県立原町高等学校との交流〜
去る九月十日、県立盲学校中学部生徒と原町高等学校家庭科クラブ生徒による交流が原町高校を会場として実施されました。昨年度八月に交流を開始してから二回目でしたので和気あいあいの交流になりました。参加した高校生は、「心が安らかになり、心にゆとりができた。すがすがしい気持ちになった」と事後に述べています。
盲学校生徒も「一緒にケーキを作ったり、楽しい会話が弾んだことがうれしかった」など、楽しい思い出となったようです。
盲学校の生徒の感想文にそのことがよく現れています。
盲学校生徒の感想(原文は点字)
『宿泊学習に行って』
中学部一年 河野妙子
私は、9日から11日まで、相馬に宿泊学習に行ってきました。一番楽しかったのは、原町高校との交流でした。私は原町高校の人たちとケーキ作りをしたり歌を歌ったりしたことが楽しかったです。それから、原町高校の人たちと自己紹介をしたのも楽しかったです。とても楽しい交流ができて、とても嬉しかったです。また、お会いできるのを楽しみにしています。〜以下省略〜
四 おわりに
交流は、障害の有無に関わらず、お互いにメリットがあり、必要なことだとよく言われますが、その言葉を証明するような素晴らしい「であい、ふれあい」だったようです。両校の今後の交流の発展だけでなく、このような交流が、他校に広がっていくことを期待しています。