教育福島0206号(1997年(H09)10月)-023page

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随想

日々の想い

ずいそう

 

釣り馬鹿日誌珍魚発見顛末記

渡部治

 

が、最近は休日も何かと多忙で、月に一、二回のペースになってしまいました。

 

元来凝り性の私は、いろいろな趣味を持っていましたが、その中で今も続いているのが釣りです。若いころは、暇さえあれば出かけていましたが、最近は休日も何かと多忙で、月に一、二回のペースになってしまいました。

ちなみに今までに釣った最大の獲物は、三十三センチのイワナです。変なものでは、一メートルを越すシマヘビや川に捨てられた子猫の死体などを釣り上げたこともあります。

さて、八月のある日の午後、久しぶりに大川(阿賀川)の田島橋の少し上の瀬で釣りをしていた時のことです。よし今日もいっぱい釣って、から揚げにでもしてビールの肴にするかなどと思って釣り糸を垂れていました。

風も余りなく釣りの条件としてはまずまずで、魚の釣れそうなポイントなのですが、その日に限ってなかなかアタリ(魚信)がありません。今日はだめかなと思って場所を変えようとした時、ピクピクッと竿を持つ指先に魚がエサをつつく感触が伝わってきました。手首を少し上げて素早く合わせると、十五センチぐらいの見慣れない魚が釣れました。その魚は、大川でよく釣れるオイカワ(通称ヒガイ)に似た魚で、色は茶褐色で体の側面に暗青色の太い縦帯のような模様がありました。

それから、一時間程の間に十匹以上の魚が釣れましたが、その大半がその見慣れない魚で、残りがハヤなのです。

十センチ以下のものは放流し、六匹だけ家に持ち帰って、早速図鑑等で、その魚の名前等を調べてみました。その珍魚は、カワムツという名のオイカワに似たコイ科の淡水魚で西日本や朝鮮半島に分布していることが分かりました。どうやらアユの稚魚に混じって琵琶湖から運ばれてきたものが、大川の一部で繁殖しているようです。河川の水質汚濁にも結構強い魚で、繁殖力も旺盛らしく在来種のハヤやオイカワが年々少なくなっているのに反して増えているようです。

故郷の琵琶湖を遠く離れたこの地で、逞しく生き続けているカワムツの適応力には感心させられました。

これから、私たちの子供のころのような本当の清流を取り戻すことは不可能かもしれませんが、これ以上の河川の汚濁を防止し、美しい豊かな自然を後世に残していかなければならないと強く感じさせられた珍魚カワムツとの出会いの一日でした。

(田島町立檜沢小学校教頭)

 

それぞれの心もち

小泉靖子

 

鮮さを感じ、相手と共有できる幸せを、感動をもって体験しているところです。

 

馬齢を重ねた今、人の個性の面白さや特徴の違いに新鮮さを感じ、相手と共有できる幸せを、感動をもって体験しているところです。

六月のころでした。

飼育していたカタツムリの一匹の殻が無残にも細かく砕け、痛々しく肌が露出していました。じっとして動きがありません。私は、どうしたらよいか迷っていました。

すると、その様子を見ていた四歳M児が画用紙に絵を描き始めました。大怪我のカタツムリを大きく中心に据え、裸形に少量の小さな葉っぱを覆いかぶせ、表皮が痛まぬようにと、優しい雨を降らせるのでした。

何と、心を打つ情感あふれる描写なのでしょう。優しさは、か細い線となって痛々しさを包み込みます。力

 

 

 


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