教育福島0206号(1997年(H09)10月)-028page
負けないように、そして一緒に目標をもってより良い学校生活を目指し頑張っていきたいと思う。
(新鶴村立新鶴中学校教諭)
カレイで一杯
松野内悟
昨年、歯科医院の門をくぐった。奥歯の一本が窪みはじめたのだ。痛みはなかったが、念のためと思い治療を受けた。私は現在四十七歳であるが、四十六歳にして初めて歯科医にかかった。昨年までは、虫歯もなく歯も丈夫で歯科医にかかったことがないことに親への感謝と自分への誇りを感じていたのだが非常に残念に思った。
子供のころの私は、川や沼によく釣りにでかけた。中でも、小学校の低学年のころの沼でのザリガニ釣りは単純で面白かった。まず、スルメを買い、足の部分一本をタコ糸に結び沼に放り込む。そうすると、ザリガニは沼の底で大きなハサミでスルメをハサんで引っ張る。糸が張りつめたところで引き上げると十センチ以上もある真赤なザリガニが釣れる。ザリガニは、一度獲物をハサむとなかなか放さない習性を持つため、簡単に釣り上げられる。ザリガニがエサを引っ張るのを待つ間、私は残りのスルメをかじっているのだ。スルメの代わりに、煮干しを使ったこともある。この時も、煮干しをかじりながら待っていた。
こんなこともあり、私は子供のころから硬いものをよく口にしてたような気がする。肉よりも魚の方が好きだったし、今でも変わりはない。魚は、ちゃんと頭、内臓、骨のついたものでないと食べた気がしない。というのも、頭のやわらかい骨とか、背ビレ、腹ビレ、尾っぽの部分の中骨、尾ヒレ、小骨のついたハラス、内臓と一緒に身を食べることが「魚を食べる」ということなのだ。骨、内臓、身を食べてこそ、栄養としての「魚」がある。特に、骨を食べると歯と歯ぐきを丈夫にする。丈夫だから魚をおいしく食べられる。
県職員になってからは、相馬沖にカレイ釣りに出かけることが多い。沖でのカレイ釣りは、軽く二、三十枚は釣れる。釣ってきたカレイは、当日に食べる分を除き、エラの下の小さな内臓を取り除いて、一枚一枚ていねいにサランラップにくるみ、冷凍庫で保存する。そうすると、いつでも新鮮なカレイを食べることができる。焼いて食べるときにカレイの大きさは、好きずきであるが、私は十五センチ位のが一番良いと思っている。あまり大きいと、酒を飲みながらだと結構時間がかかり、食味も薄れるし、飽きてくる。焼ガレイだと、中骨以外はほとんど残らず食べられる。
そんなことで、我が家の子供たち(十九歳と十七歳)も私に似て、魚が好きである。そして、もう一つ似ているのは、二人とも現在まで虫歯がなく歯が丈夫であることだ。遺伝なのか食生活なのかはわからない。
四十六歳にして初めて歯科医にかかり、一週間位、好物の魚が食べられなかったとき、やっと歯の大切さを感じた次第だ。
さて、今晩も冷凍庫で保存したカレイで一杯といこうかナ。
(県教育庁福利課主任主査兼経理係長)
新採用四か月
亀岡由美
「先生、T君がうんちもらした!」
「えっ!」
これが、三年二組の子供たちと私が最初に交わした言葉である。
四月に着任式。全校生六百三十四人を前に、私は、どきどきしながら壇上に立った。(私のクラスの子供たちはどの辺りにいるのかしら)と目をキョロキョロさせながら探していた。教室に入ったら、こうなふうに自己紹介しようとか、あんな話をしようなどと、いろいろ思い巡らせていたが、それもこの一言で、いっぺんに吹き飛んでしまった。T君の対応に追われ、子供一人一人の顔をじっくり見る間もなく過ぎてしまった初任第一日目。でも、この出来事は、T君がくれた最初の課題だった。
翌日、T君は「恥ずかしい。行き