教育福島0206号(1997年(H09)10月)-033page

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自然と同調する生き方

伊達町立伊達中学校長

田中薫

 

」という言葉があるが、よき人との出逢いであり、よき本との出合いであった。

 

ある日、音楽の指導者のY氏と歓談する機会があった。初対面ではあったが、なんとなく意気投合し、彼の哲学や人生観に深い共感を覚えた。その時に紹介されたのがこの本である。早速本屋に出向いて捜したら、たまたまそこにあった。「感動が人を動かし、出逢いが人を変える」という言葉があるが、よき人との出逢いであり、よき本との出合いであった。

この本によると、宇宙の時空間の中で人間、動物、植物、鉱物ばかりでなく、自然のあらゆる現象も互いに振動波を受・発信し、全体的に調和し合って存在するという。また、人体の細胞は約八十兆で、中性子、陽子、電子から成る原子核の集合体である。健全に成長すると、原子核の数が増え、回転運動も速くなり、原子核の集合体が大きくなる。また、人間の顕在意識は全体のわずか五%、潜在意識も五%、その他、人体に宿る何かが九十%も占める。そして、人間の本質は意志(愛)と意識(調和)であるという。

人間、そして人体、摩訶不思議である。

自然環境の汚染や破壊が進むと宇宙全体の調和が崩れ、人間の自我(エゴ)が増長すると、人体の原子核が歪み、歪んだ振動波を発信し、本質までが歪んでしまう。現代社会の歪み、不調和を正すには、宇宙の仕組みを理解し、意識を転換すること。そして顕在意識が自然の法則にかなった調和のとれた状態になれば、全体の調和を回復できると説いている。物質文明が急速に繁栄していく過程に退廃を感じる今、人間は大きな存在によって生かされているという意識を一層深め、自然に対する畏敬の念をもつ。自然の法則に同調した生き方を選択しなければならないと思った。

著者は学者でもなく、宗教家でもない。建築家であり、宇宙の仕組みに強い興味・関心をもち、形態波動エネルギーを研究している。

本の名称:波動の法則

著者名:足立育朗

発行所:PHP研究所

発行年:一九九五年十二月二十九日

本コード:ISBN 四-五六九-五五〇〇五-三

 

望まれる国際的視野とモラル

安積高等学校教諭

佐藤敬二

 

ホームページを見て法律上の問題に関心を持つようになり、本書を読んでみた。

 

インターネットを始めてまだ日は浅いが、あるホームページを見て法律上の問題に関心を持つようになり、本書を読んでみた。

本書は、インターネットを商業取引に利用する上での様々な問題点を中心に書かれてはいるが、その範囲はネットワーク社会が抱える広範な問題に及んでいる。例えば、国際的ネットワークを通して商品や情報を購入するとき、契約の成立はどの時点か。お互いの実在の確認の方法、消費税や所得税の計算や納入方法はどうするのか。また、社会モラルに反すると思われる情報は各国で規制や法律が異なるが、表現の自由との関わりの中で誰がどう決めるのか。データが次々にリレーされてコピーも容易であるので、個人情報や著作権についてどのように保護と活用を図るべきなのか、等々である。日米欧の各国や国際機関が、これらの問題に今どのように取り組もうとしているか、最新の状況が書かれている。

インターネットは問題が多すぎて発展しないという予測もあるが、私はこの種の世界的な情報通信手段はもう後退することはない大きな流れになっていると感じている。そこでは、情報はすぐに国境を越えてしまう。規制や条約をもうけるに当たっては、国家と個人の関わり、民主主議のあり方、最後は個人のモラルをどこまで信頼できるかという根元的な問題を、国際的規模で問われる状況になるのではないかと思っている。

学校教育における利用はまだ研究段階にあるが、本書によると今後活用が期待される分野の一つにあげられている。そのためには、プライバシーの保護、有用な情報の選択、電子ネット社会のエチケット教育など、多くの課題を解決していくことが必要になると思う。この新しい技術といかに関わるか、国際的視野で判断が要求されるようになる、と考えさせられた。

本の名称:インターネットコマースの奔流

著者名:大西昭郎/高間陽子

発行所:NTT出版

発行年:一九九七年七月二十七日

本コード:ISBN 四-八七一八八-五三一-三

 

 

 


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