教育福島0206号(1997年(H09)10月)-034page
研究実践
21世紀を展望した特色ある教育課程
大単位科目制と学科の枠を越えた選択幅の拡大
県立平商業高等学校
はじめに
近年、本校においては進学希望が増加し、将来を見通した進路指導の充実が一層強く求められている。このため、平成七・八年度二か年にわたり文部省指定の高等学校教育課程一職業教育関係)研究校となり、時代の進展に対応した学科の検討や生徒の進路実現を目指した教育課程の編成及び指導内容・方法の研究に取り組んだ。
一 研究取組への背景
1 現状分析
わが国の経済社会は、情報化、国際化、サービス経済化など、急激に変化している。
本校生の進路希望も多様化してきており、能力・適性・進路希望に応じた指導内容・方法を検討した結果次の課題が取り上げられた。
(1) 新学習指導要領(平成元年告示)対応への改革
1) 現行の教育課程の再検討
2) 各教科・科目指導内容・方法の改善
(2) 生徒の減少期に対応できる専門高校のあり方
(3) 特色ある、魅力ある学校づくり
(4) 大学等の進学希望者への対応
以上のことを踏まえ、時代の進展に対応した学科の改編を通して各学年の一層の特色化を図ることが必要である、との結論を得た。
2 問題の把握と対応
(1) 新学習指導要領の告示により標準学科として商業科・会計科・流通経済科・国際経済科・情報処理科が示されたことにより、現行の学科を再検討することとした。
(2) 商業科の生徒の中で入学時から大学等への進学希望者が年々増加傾向にあり、現状ではその生徒たちへの支援体制が十分でない。
このため県教委指定のモデル事業を契機に、進学体制の充実を図ることとした。
(3) 中学卒業生が年々減少する見通しから専門高校として、一層の特色を明確にし、魅力ある学科を設置し、地域の教育力を活用した「現場実習」の導入を図るなどの指導内容・方法の研究を目指した。
(4) 高校入学者選抜の志願者不足が情報処理科・情報会計科で五年間続いている。これは類似学科のためではないかと考え、中学生や地域社会の人たちに分かりやすい学科づくりを目指すことにした。
(5) 経理科は女子だけであったが、以前からOA機器等を活用した事務職希望の男子に門戸開放を、という地域社会の要望があった。このため、平成八年度から男子の受入れを実施し、新学科へつないだ。
二 学科の再編成による新学科づくり
1 新学科改編のねらい
学科の再編成に当たっては、次の事項に留意して編成した。
(1) 今日の情報化、国際化、サービス経済化などの時代の進展に対応するための学科とする。
(2) 生徒の多様化する進路や個性の伸長に対応するため、選択性の拡大や、多くの講座制の導入を図りどの学科からも進学を可能にする特色ある学科を目指し、魅力あるものとする。
(3) 学科の再編に際しては、現行の四学科の施設整備・学習内容を相互に取り入れ、各学科の特性を明確化し、相乗効果が期待できる教育課程の編成に努めることとする。
(4) 新学科の名称は分かりやすく、内容等も把握できる名称とし、「商業科」を「国際経済科」、「経理科」を「流通ビジネス科」、「情報処理科」を「情報システム科」、「情報会計科」を「OA会計科」とした。