教育福島0206号(1997年(H09)10月)-035page
三 教育課程の特色と期待効果
新学科の教育課程の編成では、専門性の深化を図り、生徒ができるだけ早い段階で上位の検定合格や資格取得が可能となるよう努めた。
(1) 教育課程の特色
1) 大単位・少数科目制の導入
一年次において国際経済科では英語六単位、OA会計科では簿記六単位、流通ビジネス科では流通経済五単位、情報システム科では情報処理六単位など専門科目の増単位を図り、スペシャリストを目指す生徒に資格取得の道を開いた。
2) 選択制の内容と選択の方法
学科を越えた大幅な選択制の導入による単位計画に当たっては、次の事項に留意して設けた。
ア 〔該当学年・単位数〕二学年・三学年で各三単位
イ 〔講座の種類〕基礎学力の充実と資格取得のための講座を設置
ウ 〔講座の選択〕五講座の中から二・三年継続で同番号の講座を選択する。
エ 〔実施方法〕二学科ずつの組み合わせによる。
Aグループ
(国際経済科と情報システム科)
Bグループ
(流通システム科とOA会計科)
オ 〔開設講座の名称〕
1)進学講座、2)高看講座、3)会計講座、4)情報講座、5)流通講座
カ 「現場実習」の導入
現場実習は実際に企業人として職場につき、商業活動に従事するもので、一年〜三年までの学習の総まとめである。
地域企業の協力により「生きた学習の場」での学習で、自発的・主体的な学習を体験し、新学力観の実現を図るものである。
現場実習風景
(2) 期待効果
1) 多様な進路選択を可能にし、個性の伸長及び保護者の期待に応えることで、志願者の増加が期待できること。
2) 各学科とも大単位少数科目としたため、スペシャリストとして必要な上位の検定合格や資格取得が期待できること。
3) 現場実習の導入及び課題研究発表会の実践によって、従来以上に新学力観への対応が可能となり、主体的な学習が期待できること。
4) 各学科とも選択制の大幅な導入により進学希望者の進路実現に対応が可能となり、将来四年制大学などへの進学者数の増加が期待できること。
四 研究の成果
(1) 学科への改編と、それによる志願者の増加
(2) 多様な選択科目の拡大によりすべての学科から進路選択(進学・就職いずれの場合も)の実現が可能となったこと。
(3) 「現場実習」の導入により、職業観の定着が図れたこと。
(4) 専門高校としての施設設備の研究により、最新の施設完備が実現したこと。
おわりに
本研究による実践は、スタートしたばかりである。今後は指導内容・方法の一層の工夫改善に努めるとともに、生徒の個性に応じた教育課程の実践と生徒の進路実現を図る必要がある。
表1 Aグループ(国際経済科と情報システム科)
表2 Bグループ(流通ビジネス科とOA会計科)
※の講座は、流通ビジネス科とOA会計科の生徒のみ選択とする。