教育福島0208号(1998年(H10)01月)-012page
ようとする競争意識が芽生え、内容の質が向上するとともに、楽しく活動に取り組む児童の姿が多く見られるようになった。
4) 自己評価を中心とした学力指数の結果を考察すると、第一に社会科学習指数では、向上的学習者や能動的学習者の割合が多いことから、一小単元一サイクルの問題解決学習方法を身に付けた児童が多いと判断できる。
第二にグループ学習指数では、能動的学習者の割合が多いことから、課題選択学習におけるグループ学習が有効であったと言える。これは、少人数での話し合いを繰り返して自分の考えを持ちやすくしたり、修正したりすることによって自信を持ち、積極的に学習に取り組む児童が増えてきたことを物語っている。
第三に目標達成指数では、能動的学習者の割合が多いことから、自分なりの考えや表現方法を持てなかった児童も、教師やグループ活動での友達からの支援により、表現への意欲を高めて、学習に取り組んでいたことが分かる。
第四に学力評価指数では、単元末の評価テストで観点別達成度の高い児童の割合が多いことから、基礎的・基本的内容が定着したと判断できる。特に、社会的思考・判断面の正答率が高いことは、児童一人一人の考えや思いを大切にする授業を展開しながら、学力の向上を図ることができたことを意味している。 (資料4)
資料4
(5) 研究内容の課題
1) 自力解決の場面では、児童の解決に有効な資料や助言の与え方を、交流の場面では、調べたことの単なる発表に終わらず、共通課題に照らして、一つのストーリー性を持たせた発表になるように支援の方法を工夫していきたい。
2) 児童の学習活動に評価項目を具体化・重点化しながら、児童の学習状況・活動を的確にとらえて指導と評価の一体化を図っていく必要がある。
3) 児童一人一人の表現力を高めるために、表現活動を選択できる場を設定する。また、表現活動の評価は、活動の状況を多面的、継続的に見取り、努力の様子や進歩の状況についての評価方法に工夫が必要である。
4) 自己評価にもとづく学力指数であるが、自己評価を児童自身が生かす方法と、教師の支援について工夫しなければならない。また、数量的基準で児童の学習状況をとらえるだけでなく、質的にとらえるなど評価の方法についての研究を進めていく必要がある。
【実践2】
『社会科学習における表現活動』
1 研究の方法
(1) 国語の教材『解説者になって』の学習を生かして、社会科の小単元の中に位置づける。一人一人の児童が興味や関心を持って調べた内容を、解説者という客観的な立場で、自分の考えを相手に理解してもらう『解説文』を書く活動ををとおして学習内容の定着を図るとともに、社会的事象への関心を高める。
(2) 『解説文』を書き、グループでの発表会が終わったら、ねらいに応じたグルーピングを行い、グループ新聞作りを行う。歴史的事象についての意味を考えたり、判断したりする力を育成するために、主題やねらいをはっきりさせて作業に取り組ませる。また、新聞の発表の場では、互いに意見を交換する場を設けて、改善点を指摘したり評価したりして、表現方法について工夫できるようにする。
グループで新聞作りをする児童
(3) 単元末の『問題作成』は、それぞれが追究したことを互いに確認し合う場が必要であると考えて設定した。そこで目指していることは、基礎的・基本的内容の確かな定着と、基礎学力の向上であるこ