教育福島0208号(1998年(H10)01月)-013page

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とは言うまでもない。

2 研究内容の成果

(1) 人物に対しての解説文が数多く見られ、その人物の仕事ぶりや工夫、努力の様子などが多く取り上げられ、共感的に受け入れている作品が多かった。客観的に順序よく自分の思いを述べる活動をとおして、歴史的事象に対して深まりや広がりのある学習ができた。

また、自己評価や相互評価する欄を設け、評価し合う機会や場を通して児童の表現力を高めることができた。

(2) グループ新聞作りでは、編集会議を行った。自分なりの考えを大切にしながら、得意な方法を用いて紙面作りを工夫する姿が見られたことから、社会的事象に対して積極的に関わりをもって追究していく児童が増えてきたと言える。

また、全員参加、全員発言という目標のもとに発表経験を重ね、次第に一人一人が自分の意見を言えるようになったことは、子供一人一人に生きて働く力が備わってきたと言える。

(3) 追究したことをもとに、問題作成を行うことで確かな学びが保証されたと言える。また、児童が互いに思考したり判断したりする場を提供することとなり、基礎的・基本的内容の定着を図る上での有効性を確かめることができた。

3 研究内容の課題

(1) 『解説文』や『新聞作り』では、個人差やグループ差が出てきたので、表現活動における評価を生かし、児童一人一人の活動状況を多面的、継続的に見取り、その頑張りの様子や進歩の状況を把握する方法について工夫が必要である。チェックリストの観点を明らかにしながら活用し、効果を高めていきたい。

(2) 問題作成では、知識・理解面を問う問題を作成しがちであった。目標と指導と評価の一体化を図ることを考えると、単元末にではなく、一単位時間の中でも「○○についてはどう考える?」とか「なぜ○○は○○したのかな?」など口頭で簡単な問題提示をするなど工夫が必要ではなかったか。そして、それを形成的評価として位置づけていけば、効果的に活用することができるものと考える。

 

1年間の表現活動の歩み

 

1年間の表現活動の歩み

 

五 研究の成果と今後と課題

 

1 研究の成果

(1) 一小単元一サイクルの複線型の課題選択学習を進めた結果、十分な活動時間が保障され、自分なりのよさを生かした調査活動や表現活動をしようとする態度が育成された。また、資料を効果的に活用しながら自らの問いを意欲的に解決しようとする態度が見られるようになった。

(2) 表現活動を中心に学習形態(一斉・個・グループ)を工夫した結果、児童が確かめ深め合う交流の場を与えられ、課題に対してあらゆる方向から追究する観点を学ぶことができるようになった。

(3) 発表や発言の場を確保し充実させたので、他の児童やグループの成果を相互に学び合うとともに、多角的、多面的な物の見方にふれることができ、学習に対する達成感を味わわせることができた。

(4) 基礎的・基本的な内容の定着については、知識・理解面ばかりではなく、社会的思考・判断や資料活用・表現などの領域に向上が見られた。このことは、表現活動を中心とした児童の考えや思いを大切にした授業を展開してきた成果と考える。

2 研究の課題

(1) 一人の教師が、限られた時間の中で多数の児童の活動を支援しながら評価を行い、指導に生かしていくことには限界がある場合がある。T・Tによる指導を含め、今後さらに研究を進めていく必要がある。

(2) 表現活動には多くの時間がかかり、作業時間にも個人差がある。個に応じた指導に十分配慮することが大切である。また、児童自ら多様なメディアを選択活用できるようにすることにより、学習に対する意欲を高めるとともに、情報処理能力を高めていきたい。

(3) 診断的評価から、既習事項の再指導や不十分な箇所の補充指導、誤解を訂正する治療的指導などについても、社会科の指導において必要と思われる場面がある。学習の効果が上がるような指導の工夫を図っていく必要がある。

 

 

 


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