教育福島0208号(1998年(H10)01月)-014page

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自分の思いを大切にし、主体的に表現しようとする児童をめざして

個に応じた絵画指導を通して (鮫川村立富田小学校での実践)

 

双葉郡大熊町立大野小学校教諭 津島正子

 

一 主題設定の理由

 

一 主題設定の理由

 

「先生、あのね、ぼくね、休み時間にすもうとりをしたんだよ」

「先生、あのね、黄色い花を見つけたんだよ。きれいだったよ」

子供たちの心の中には、先生や友達に語りかけたいことがいっぱいつまっている。子供たちが絵に表す場合、体験したことを生き生きと絵に表していくであろう姿が想像される。子供たちは、本来このように自分の思いを生き生きと表現するものである。

しかし、目の前の子供たちを見ると必ずしもそうとはいえない姿が見られる。子供たちには、確かに表現技能の差は存在する。だが、子供の側に立って考えると、自分の思いを伸び伸びと表現できなかったり、受け身的で、教師の指示を待つことが多かったりする原因には、教師側にも問題があるのではないかと考えた。

つまり、子供たちの思いやよさを発揮させることよりも技能の指導を優先してきたため、児童は、自分の思いのままに表現を楽しむということが少なくなってしまった。その原因の一つとして教師の授業も関係しているのではないかと反省すべき点が多い。

 

○問題点として

 

(教師側)

●技能優先の指導で、子供たちに指示することが多い。

●共感的な態度で支援することが少ない。

(児童側)

●受け身的な態度で教師の指示を待つことが多い。

●表現意欲に欠ける。

このような研究課題に対して、本研究主題を設定し、二年間にわたり、上記の研究課題解決のために、次のように迫っていこうとした。

図画工作科の楽しさは、自分の思いを自由に表現できるということであり、その喜びが生き生きと表現していくことにつながるのではないかと考えた。新しい学力観にたって考えた場合、教師は、一人一人の表現に寄り添いながら、個をとらえ、個に応じた支援をすることが、大切であるととらえた。

そこで、子供の側に立っての児童理解を根底に捉え、子供の内面に働きかけながら自ら学び、考え、判断し、表現していこうとする意欲を高めていくことを通して、子供たちが、主体的に表現していけるようにと願い、上記の研究主題を設定した。

 

二 研究の見通し

 

(1) 児童の思いや願いを大切にし、発想に広がりが期待できる題材を工夫し、豊富な材料や技法、表現など自分のイメージにあったものを自己選択・自己決定できる場を設定すれば主体的に表現活動が展開できるのではないか。

(2) 児童一人一人の個性、表現の特性をとらえ、その子でなければできない発想を認め、個性を見いだし、自信を持たせるような支援をしていけば児童は生き生きと表現活動に取り組むようになるのではないか。

 

三 研究の内容

 

(1) 発想に広がりが期待できる題材をどう設定したらよいか。

1) 魅力ある題材の設定

2) 表現の発想を膨らませる題材名

3) 豊かな表現が広がる題材との出合わせ方

(2) 主体的に表現するために、自己選択・自己決定できる場の設定は、どのようにしたらよいか。

1) 材料や用具等を自己選択できる各種コーナー

2) 思いが膨らむような効果音の活用

3) 一人一人のよさを生かす支援の

 

 

 


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