教育福島0208号(1998年(H10)01月)-018page

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豊かな心を育みながら「生きてはたらく力」を培う総合単元的な道徳学習の実践

生活科のよさを単元計画に取り入れて

 

郡山市立橘小学校教諭 橋本一弥

 

一 研究の基盤

 

一 研究の基盤

本研究は、平成七年度に発表した「児童が主体的に心を学ぶ道徳を目指して〜体験活動と関連した道徳の時間の試み〜」(橋本一九九五)の継続研究として、前任校の田村郡三春町立中郷小学校において実践したものである。

二 主題設定の理由

1 前研究の成果と課題から

前研究では、具体的体験をとおして道徳的心情や道徳的態度を育てられるように、道徳の時間に役割演技や動作化を取り入れたり、特別活動や各教科の学習と道徳の時間の関わりを深めたりしてきた。

この発展として、地域や子供の実態などから道徳教育の重点課題をよりはっきりさせ、教育活動全体の中で指導していく「総合単元的な道徳学習」のあり方が課題として残った。

2 生活科のよさを取り入れて

生活科は、豊かな体験的活動をとおして自立への基礎を養う総合的な学習活動である。生活科の教科の目標に述べられている内容は、今日求められている学力や道徳教育と深い関わりを持っている。

また、体験的活動の素材として地域素材を積極的に取り入れる、児童の思いや願いを大切にして多様で柔軟な学習活動を展開できる、などの特徴は、第三学年以上においてもぜひ取り入れたいよさである。

生活科のよさを総合単元的な道徳学習に生かしていくことで、豊かな心や生きてはたらく力を育てることができ、学校の教育目標の達成や新しい教育の方向に沿った指導方法に結びつくと考え、研究を進めた。

三 研究の仮説

1 仮説

生活科のよさを生かすとともに、中核となる道徳の時間の役割を吟味して位置づけた総合単元的な道徳学習を基盤として道徳教育の計画を構成し、単元全体の学習活動の支援を工夫していけば、豊かな体験活動をとおし、児童の内面に根ざした道徳の学習が展開でき、児童に豊かな心を育みながら生きてはたらく力を培うことができるであろう。

2 構想図(資料1)

3 概念規定((1)・(2)は略)

(3) 「生きてはたらく力」とは

主体的に学習に取り組んでいる次のような姿である。

1) 問題や課題などを自ら見いだす

2) 解決や実現の方法などを考え、工夫しながら実行している

3) 解決や実現の過程や結果を評価できる

4) 得た知識や技能を活用している

四 研究の計画(略)

五 研究の実際 その1

〈計画・学習環境づくりの概要〉

1 学校全体での学習環境づくり

(1) 地域素材の把握

活用が可能な地域素材を累積し、表や地図にまとめた。

(2) 道徳の時間の内容項目の重点化

教育目標や子供の実態に照らして、道徳の時間に重点的に指導すべき内容項目を明らかにした。

(3) 総合的単元のためのテーマ設定

総合的に学習を進める単元を作成しやすいようにテーマを設定した。

○学校テーマ

「三春に生きるわたしたち」

・高学年のテーマ

「歴史・産業・環境と三春」

(4) 学習環境の整備

直接体験などを通した学習がしやすいように次の点を努力した。

○町バスの積極的利用

○調べ学習用資料や図書の充実

○実物など具体資料の充実

○視聴覚機器の充実 ほか

2 学級での努力点

(1) 学級づくり(略)

(2) 学級における道徳教育指導計画の改善

総合的単元を作成しやすいように計画の中に暦を設け、教科や特別活動の学習内容と道徳の時間の内容項目の関わりを把握しやすくした。

 

 

 


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