教育福島0208号(1998年(H10)01月)-022page

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子供一人一人が自尊の感情を高める学級経営の在り方

「ほめるサイクル」を機能させる学級通信活動の工夫を中心とした学級経営

 

会津若松市立城西小学校教諭 佐藤寅記

 

一 研究主題について

 

一 研究主題について

 

1 主題設定の趣旨

子供が、「自分はできる」「認められている」という自尊の感情を持ったとき、何かを成し遂げたいという意欲を高め、様々な困難を克服して学習効果を上げていく。逆に、子供が自信を失ったときは意欲を失い、学習効果が上がらないばかりか、心理的な歪みや学校への不適応症状も現れてくる。

四月当初の児童へのアンケート結果によると、自分に「自信」を持つ児童の割合は低く、反対に、「学校がつまらない」と思ったことのある児童の割合は高かった。こうした傾向は、いじめや不登校の一要因となっているとも考えられる。

以上のことから、このような傾向を持つ学級の児童に、「ほめる」ことをとおして自尊の感情を持たせ、自信と活動意欲を高める支援の必要性を感じ、学級通信活動を工夫した学級経営の在り方に焦点を当てて表記の主題を設定した。

2 副主題の捉え方

(1) 「ほめる」とは

児童へのアンケートによる「やる気や自信が高まる言葉」を分析すると、「称賛」「承認」「奨励」の言葉に類型化された。この三つを「ほめる」言葉の定義とした。

(2) 「ほめるサイクル」とは

資料1のように、教師と子供、保護者の間を「ほめる」言葉が「サイクル(循環)」していくことによって、自尊の感情が高まり、子供のよりよい成長が図られると考えた。

(3) 「『ほめるサイクル』を機能させる学級通信活動」とは

「ほめるサイクル」を機能させるには、子供のよさをとらえ、そのよさを子供自身に自覚させたり、保護者に知らせていくことが前提となる。子供のよさや保護者の声を積極的に掲載した学級通信を発行していくことによって、教師と児童、保護者の中での「ほめるサイクル」が効率的に機能すると考えた。

 

資料1 「ほめるサイクル」

 

二 めざす学級像

 

二 めざす学級像

 

望ましい個の伸長と、個と集団の相互作用が図られ、互いに高め合える学級集団を理想とし、めざす学級像を「『笑顔』と『やる気』と『拍手』のある学級」と設定した。

1 学級目標の捉え方

(1) 「笑顔」

いじめや不登校のない明るく楽しい学級をめざして設定した。

(2) 「やる気」

何事にも挑戦しながら自分の可能性を切り開き、自信を持って生活する中、よりよく成長していくことを願って設定した。

(3) 「拍手」

他を尊重する態度やよいものを取り入れようとする態度は、個が伸びていく学級集団として備えておくべき必要不可欠な資質の一つと考える。友達の考えや行動を拍手で認め合い、尊重し合って互いに高め合える学級を理想として設定した。

 

三 研究の見とおし

 

自信が持てず、活動意欲も失いがちな児童に対し、個の「よさ」を生かす場、とらえる機会を以下の四点において意図的、計画的に設定する。そこでとらえた「よさ」を学級通信を中心に、称賛、承認、奨励してい

 

 

 


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