教育福島0208号(1998年(H10)01月)-031page
けば、自尊の感情が高まり、めざす学級が育つであろう。
【児童一人一人のよさを生かす四つの工夫】
1) 工夫1
児童一人一人の「よさ」をを見いだし、それを自覚させながら自信を高めるとともに、相互理解が図られる場を設定する。
2) 工夫2
自主性、協力性が高まるような当番活動、係り活動を工夫する。
3) 工夫3
個が生かされ、集団で協力して解決する喜びが味わえる学習活動(以後、「集団協力解決学習」)を設定する。
4) 工夫4
保護者と「連携した子育て」が実現するような手だてを工夫する。
【学級通信発行の方針】
子供の成長に資する学級通信になるよう、以下の二点に留意する。
1) 子供が自分のよさを自覚できるように、また、保護者が自分の子供のよさを理解できるように、さらに、友達同士の相互理解にも生かされるように、実名をあげて掲載する。
2) 学級の児童一人一人が生かされるよう、平均して登場するよう配慮する。
四 研究計画
1 研究内容
(1) 年間の学級通信の発行計画
(2) 四つの工夫の計画的実施
五 研究の実際
1 学級経営年間指導計画の作成
仮説にあげた四つの視点から学級年間指導計画を作成し、個のよさを発揮できる場の設定や手だてを位置づけ、一人一人のよさをほめる学級通信の発行が意図的・計画的に行えるようにした。
2 児童のよさを生かす学級組織づくり
全国教育研究所連盟は、個性豊かな子供が身に付けるべき資質・能力を二十項目にまとめた。この研究成果を生かし、めざす学級像に迫るため、「個」、「個と集団」という二つの視点から十二項目に精選し、資料2のように構造化した。そして、学級への所属感や自己有用感が味わえる当番活動と、主体的で創造的な活動が促される係り活動を工夫し、学級組織の中に位置づけた。
資料2
3 工夫1の実践(よさを見いだし、自覚させ、自信を高める)
個に応じた指導が行えるよう、児童と保護者へのアンケートを実施し、個人カルテを作成した。
(1) 「輝き発見タイム」の設定
その子なりのよさ(輝き)を意識化させる実践である。「輝きの記録」の作成に当たって、自分のよさを見つけ出す場やよさの観点が明確になるように工夫した。また、友達や保護者からの一言欄を設けた。
▼ 実践の考察
よさの自覚や子供同士の相互理解、よさを認め合う態度の育成に効果的であった。また、子供のよさを多面的に理解する資料となった。
(2) 「チャンピオン」の設定
一つのことに自信を持てば向上意欲が高まり、他の活動への波及効果が期待できると考えた。
▼ 実践の考察
話し合いを通してチャンピオンを設定し、学級通信への掲載や言葉かけを通して意図的に認め励ましてきた。その結果、向上心を持って努力したり、自分のよさを伸ばそうとする意欲、態度が育ってきた。
(3) 「全員○○○できた」
学級の全員が一つの目標を持ち、その目標に向けて努力していく過程で、教え合いや励まし合いが生まれるのではないか。また、共通の目標を達成することにより、努力の過程におけるそれらの態度が一層強化されるとともに、「みんなができた」という喜びを共有できる。その結果、個々のつながりが一層強まっていくようになると考えた。
▼ 実践の考察
「できない」友達をみんなで励まし合うようになった。また、自主的な学習態度や子供同士の学び合いの態度も育成されてきた。 (資料3)
(4) 班ノートの活用(考察は省略)
テーマを与えて意見交換をさせたり、前者の文に感想を書き込ませたりした。また、保護者の参加を呼びかけてきた。
(5) 「輝き一番星」の設定 (考察は省略)
その子なりのよさ、伸ばしたい個性を見いだし、表彰したり掲示したりした。