教育福島0208号(1998年(H10)01月)-032page
「35人36脚(1つの目標に向かって)」
4 工夫2の実践(自主性と協力性を高める実践)
(1) 学級への所属感と自己有用感を味わわせる当番活動
◇ 「一人一当番」
学級生活を快適に過ごせるために必要な仕事を挙げさせ、一人に一つの役割を与えるようにした。
▼ 実践の考察
自分がやらない限り学級が動かないという事実は、自分が学級にとって必要な一員であるという意識を強めさせる上で効果的であった。
(2) 個のよさを発揮させながら、自主性や実践力、創造性を高める係り活動
決まった仕事を行う当番活動に対し、係り活動は、児童の自発性や考えに委ねられる活動である。したがって、個のよさが発揮される係り活動を工夫することは、児童の自主性や創造性を高めると考えた。
1) 「イベント推進委員会」
遊びは、予供の内発的欲求に支えられた自発的で創造的な活動である。また、遊びの中で子供は、役割分担の仕方や適切な交友関係など、社会的な能力も身に付けていく。そんな特性を生かし、学級の自主的・自発的能力を育成したいと考えた。
▼ 事例「水中運動会」 (省略)
2) 「生活向上実行委員会」
集団で生活する以上、様々な問題が生じてくる。そんな問題を自ら解決できる自治的学級集団を育成したいと考えた。
▼ 事例「よいことした人表彰月間」 (省略)
3) 「ジュニアボランティア委員会」
人を助け、互いに支え合う態度の育成は、今後の社会生活に重要なものである。奉仕的態度、社会性の育成を願って設定した。
▼ 事例「大バザー市」
使わなくなったものを再利用してもらおうと考えて実践した。バザーは大盛況だった。係りの子の感想には、「みんなで一つの和を作り上げた」「みんなが喜んでくれて最高の気分」という内容が見られた。
5 工夫3の実践(「集団協力解決学習」を設定した授業づくり)
自他の考えのよさや、集団で協力して解決していくよさを意識化させていくことが、めざす学級を育てていくと考えた。そこで、自分との関わりを大切にするため、1)自分と自分(獲得している知識や体験)との対話。2)自分と友達(友達から得られる情報)との対話。3)自分と事象・問題との対話の場を設定し、個人思考→小集団思考→全体思考→個人思考として学習過程に位置づけた。これを「対話的学習」と呼び、積極的に授業に取り入れてきた。(資料4)
資料4 「対話的学習の構造図」
(1) 理科「動物と人の誕生」の授業の概要
個人思考の段階で胎児の様子を想像させ、絵で表現させた。小集団で、予想図の説明や比較・検討を行わせた。そこで深め広められた考えを全体の場で話し合わせた結果、四十の疑問が出された。事前に保護者の協力を得、聞き取り調査を行わせておいたため、家族の中で問題解決に当たるなど、学習問題の解決に意欲的に取り組んだ。
(2) 算数「面積」の授業 (省略)
(3) 道徳の授業の概要 (省略)
▼ 「集団協力解決学習」の考察
「対話的学習」が効果を高めるよう、各思考段階での支援のあり方や多様な考えを生かす手だてを工夫してきた。また、自他の考えや集団での解決のよさを味わわせる自己・相互評価の場を位置づけてきた結果、互いのよさを生かして意欲的に問題を解決する児童が育成されてきた。
6 工夫4の実践(保護者との「連携した子育て」を実現する)
(1) 学級通信の工夫 (資料5)
子供のよさや作品を中心に掲載し、子供が主役となるよう実名を挙げて掲載してきた。特に、行事が行われたときや学期末には、全員の活躍が分かるような学級通信に努力した。(2) 学級懇談会の工夫
教師の教育観や指導方針が伝わるよう工夫した。
(3) 授業参観の工夫
保護者の体験を授業に生かしたり