教育福島0208号(1998年(H10)01月)-037page
○称賛の与え方の工夫をする。
このように、子供一人一人の学習のスタイル、理解の方法等に目を向けることが大事であると思います。
Q三
自閉症の症状や行動の特徴を教えて下さい。また、その対応はどうずればよいのですか。
A・自閉症は、心因性によるものではなく、脳の機能障害による発達の障害とされていますが、対人関係や認知の視点から考えると情緒面での障害が表れているものと言えます。具体的には次の三つの症状が挙げられます。
1) 家族の人も含めて、人への関心があまりないことです。話しかけられても反応が不十分であったり、子供たちの中に入って遊べないなどの特徴があります。
しかし、乳幼児期に人見知りがなかったという例も多く見られます。
2) 言語の発達の障害です。言葉を話しても会話が成立しない、独り言、一方的に話す、オーム返しなどが見られます。
3) 生活パターンが変わることへの抵抗があります。例えば、同じ道を通ることへの固執や、物を置く場所へのこだわりなどです。また普段生活している場所以外の所を嫌ったり動植物に特別な興味を持つこともあります。
支援、援助については、以下のことが大切です。
○教師が味方であることを分からせる。
自閉症児が示す行動を受容し、教師が親身になってサポートしていることを態度で理解させ、何を好み、何を嫌うかを知ることが大切です。
○学校が安心できる場であることを分からせる。
教師の働きかけが子供の行動を乱さないようにすることを前提に、もし自傷行為などに陥った場合は、その状態ができるだけ早く治まるように、教師の働きかけを暖めたり、他の場所へ誘うなど環境条件を整えることです。
まさに、一人一人を大切にすることであると思います。
Q四
家庭では普通に話をするが、学校で話をしません。
A・「特定の場所や、人物に対して話をしない場面緘黙」が考えられます。
心理的な要因が強く影響しているのではないでしょうか。例えば、親からの分離不安や学校への恐怖心、他人への信頼感が薄いなど不安に対する自己を守る手段の一つと言えます。
支援、援助ですが、何と言っても、無理強いしないことです。
◎本人の意思表現の方法を把握すること。
○自己表現を言語に頼らないこと。
○動作や態度による自己表現を認め、受け入れること。
◎緊張感の軽減を図るようにする。
○常に存在を認め、温かな言葉がけをすること。
○緊張感の軽減を図るようにする。
○うなずく、笑うなどをとおして受容すること。
Q五
ことばの発達が遅いような気がするのですが。
A・当センターの相談では、右記のような相談が就学前から小学校三年生くらいまでの年齢層に多くあります。
「ことば」だけにとらわれず次の視点で子供を見ることが大切です。
○機能的、気質的、器質的に問題はないか。
○知的な面での遅れはないか。
○聞こえはどうか。
○言語環境はどうか。
○どんな生活体験をしているか。
ことばの発達の基盤は、情緒的な心の動きです。心の発達が人に伝えたいという社会的な心の働きを促し、知的な活動へとつながります。心が健康に育っていることがとても大事です。
おわりに
一人一人の子供たちの良い面を見つめ、あらゆる場面で生き生きと活動できる環境が大切です。そのためにも、学校等での人的環境、すなわち子供と教師、子供と子供のより良い人間関係作りを心がけたいものです。