教育福島0209号(1998年(H10)02月)-029page

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誓いと同じで、続けることはなかなか難しい事ですよね。あまり意気込まず、自分の年齢や体力、それに好み等に応じてスポーツを選択し、友人と一緒に趣味として楽しむことをお勧めいたします。楽しく充実した毎日を送ることが健康の秘訣ですよ」とアドバイスをしてくださいました。私も、生涯にわたりスポーツをとおして、仲間づくり、健康づくり、生きがいづくりに心がけ、人生を有意義なものにしていきたいと考えたところでありました。

さて、成人者の多くが健康に留意しているのに対して、成長期にある児童・生徒の健康観はどうでしょうか。人生の中で最もはつらつとした時代を生きている彼らにとって、健康問題等は縁がないと考えたいところですが、昨年、教育課程審議会が公表した【中間まとめ】の中の体育・保健体育の現状と課題によると、児童生徒の全体的な体力・運動能力の低下にもかかわらず、運動の必要性を理解し、自ら実践することが十分身についていない状況や、健康や安全に関する知識が、実際の生活に生かされていない状況等が指摘されており、次代を担う彼らの健康に不安を感じているところであります。

また、平成九年度の「スポーツと健康教育」(県教育委員会発行)では、文部省指定の各校より貴重な研究内容が紹介されておりますが、やはり、近年の生活様式の多様化に対処した、正しい生活習慣づくりが多くの共通した課題となっております。生活習慣は基本的に家庭の問題ではありますが、あらゆる機会に正しい知識や情報を提供し、成長期にある児童・生徒に対して、将来に向けた健康問題をしっかりと認識させ、「よし、明日からは!」ということの自覚を促していくことは、私たち大人の使命ではないかと考えます。

(県体育協会生涯スポーツ係長)

 

キャンプの定番

長島健司

 

「今日は、カレーライスのパーティがなかったから、きれいね」

 

「今日は、カレーライスのパーティがなかったから、きれいね」

能登のオートキャンプ場の炊事場で耳にしたお母さん方の会話である。水汲みの帰り道。今度は、炊事場でカレーライスの後片付けをしている百人を越すパーティに出くわした。流し台を埋めるほどに泡立つ洗剤。黄色がかった排水で溢れる汚水升。袋いっぱいの野菜屑。自然にたっぷりと浸るために来たキャンプにカレーライスは似合わないなと納得した。

最近のオートキャンプブームの中で、キャンプの定番であったカレーライスは減少する傾向にある。米のとぎ汁やカレーの食べ残しなどによって自然が汚染されることをキャンパーが意識しはじめたからだ。また、地元の特産物を生かして簡単にできる食事を味わう楽しさが見直されてきていることも挙げられる。

家庭では、どんな料理であってもその洗い水を排水溝に流してしまうと、汚水処理場、そして、河川を経て海へ運ばれ、台所排水の影響を知ることはできない。生活が豊かになり、便利になることによって、自分たちが出している汚れにすら気付かなくなってきている。その意味で、オートキャンプは、たとえ数日間の滞在であっても省資源型のライフスタイルを体験できるよい機会になる。炊事場まで汲みに行かなければ水はコップ一杯でも大切にする。生ゴミは出さないために、食べ残しはなくす。夕暮れからテントを照らすランタンの燃料を貴重品のように取り扱うなど、自然と隣り合わせになることによって、環境への思いやりや限りある資源に対する危機意識をもつことができるようになる。

環境教育の重要性が叫ばれている今日、『地球規模で考え、足下から実行する』の言葉にあるように、授業で学んだことを各家庭へ浸透させ、家であれ、出かけた場所であれ、環境にやさしい生活をどのように営むかが問われている。

しかし、学んだことが「水をきれいにしよう」とか、「緑を大切にしよう」のようにスローガン的なものに落ち着いてしまうと、具体的な実践に結びつけることを難しくしてしまうように思う。「わかっているけど自分だけではできない」とか、「今のライフスタイルでは長続きしない」となって、行動が遠のいてしまうからである。「わかったら行動する」その場に即して感じ取ったことを小さな実践に結び付けていくことが大切ではないかと考える。

今年の夏もオートキャンプを計画しているが、我が家の献立からカレーライスははずそうと思っている。

(国見町立藤田小学校教諭)

 

 

 


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