教育福島0209号(1998年(H10)02月)-036page
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特別企画3) 平成8年度学校経営B講座
【研究主題】
「いじめを生まない教師集団づくり」
いじめ空間をつくらない学級経営の在り方の支援を通して
葛尾村立葛尾小学校教諭 新井川美千枝
教育センター
一 研究の趣旨
本校は全学年が単学級で組み替えがないこともあり、知らず知らずのうちに学級内での序列ができあがり、自分や友達のよさを素直に認めようとする気持ちが希薄になってきている。また、生活調査の結果からも、交友関係が学校生活に大きく影響していることや、学校生活の中にいじめを生む要因が潜在していることがうかがえる。
このような児童の実態、そして保護者の願いなどから、教育目標の一つに「思いやりのある子ども」を掲げている。この目標の具現化のために、各教科・道徳・特別活動等を通して「人の心の痛みのわかる子・幼い子や困っている人にやさしく手を差しのべられる子」の育成に努めている。
ある研究によれば、いじめっ子の四割以上が学級の中の学業不振児であったということから、いじめの加害者となる子供は、成績下位の者が多くなる傾向がうかがえる。
いじめ問題は「いじめっ子」がいなければ生じない。我々教師はこの「いじめっ子」を生まない学級経営や授業の展開にもっともっと力を入れていくべきだと考える。すなわち、いじめの要因を教師の共通理解・共通指導で克服していく教師集団づくりが大切であると考える。
以上のことより、いじめを防ぐためには学校や家庭・地域などの多方面からの対応が必要であるが、本研究では学校でできることに焦点を絞って進めていきたい。また、研究を進めるに当たっては教務主任としての立場からへ低・中・高学年ブロックを単位とした計画や実践のための援助指導の在り方を中心に取り組んでいきたいと考える。
二 研究の見通し
いじめの空間をつくらない学級経営をするために、教務主任として授業や朝の会等の教育活動を見直す視点を示唆したり、実践へのアプローチや援助指導をしたりしていけばいじめを生まない教師集団ができるであろう。
三 研究の方法と対象
1 研究の方法
(1) 児童及び教職員の実態調査の実施と問題点の分析研究
(2) いじめる子の心理に関する研究
(3) 児童のよさを生かす指導に関する文献・理論研究
(4) 改善策による実践研究
2 研究対象
○ 本校教職員・全児童
四 研究の内容と推進
1 研究の内容
(1) 教職員及び児童に対する「いじめ」に関する生活・意識調査と問題点の把握
(2) いじめの要因を排除するための環境の改善
(3) 児童のよさを認め、広げるための教育活動の改善
(4) 教職員及び児童の意識の変容調査と研究のまとめ
2 研究推進計画…(略)
○ 六月から十二月にかけて研究
五 研究の概要と考察
1 研究の概要
(1) 生活・意識調査と問題の把握
1) 学校生活についての意識やいじめの実態を把握するために、全校児童を対象に五項目のアンケートを実施した。その結果、次のような問題点が明らかになった。
○ 学校が楽しくない理由として、「友達にいじめられたり、けんかをしたりしたとき」が多く、交友関係が学校生活に大きく影響していること。もう一つは、高学年になるにつれ「勉強がわからないとき」が理由にあげられている。
○ いじめたいと思う人には、自分より弱い人、人気のある人、いじめられた人などをあげ、ストレスのはけ口やねたみ、報復への気持ちがいじめの要因になっていることが分かる。
○ 自分のよいところを知っている児童は半分以下と少ない。自分のよさに気づき他人のよさを認めよ
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