教育福島0209号(1998年(H10)02月)-044page

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特別企画4)

 

平成九年度

中学校・高等学校生徒の国際理解・国際交流論文

朝河貫一賞「最優秀」作品

 

真の国際化をめざして

 

二本松第一中学校三年

五輪智子

 

とがあれば、仮りに一時は力を得ようとも、国民の良心は麻痺してしまう…。」

 

「他国が私利を追求するからといって、自国の利のみ追い求めるようなことがあれば、仮りに一時は力を得ようとも、国民の良心は麻痺してしまう…。」

国際人として、国際的な正義を貫こうとした朝河貫一博士はこんな言葉を残している。重く暗い戦争の時代を生きぬいた博士は、いったいどのようなことを夢見ていたのであろうか。

近年、交通の便の発達で楽に海外へ行けるようになり、国際化も発展してきた。福島空港も今、国際空港へと生まれ変わろうとしている。国際空港の増加で、よりいっそう世界が近くなるのではないだろうか。大人も子供も簡単に海外へと飛び立てる日は、もう遠くはないのだ。

また、国際化は私のすぐそばでもおこっている。父が一月にタイへ行ってきたのだ。父は、国際電話で家に電話をかけてきた。見るものすべてがすばらしく、新しい発見ばかりで、文化の違いをあらためて感じたと父は言っていた。私もいつかきっと、海外へ行ってすばらしい体験をしてみたいと思っている。

また、六月には留学していたいとこが、アメリカから帰ってきた。彼女が学んだ現地の学校には、他にもフランス人や中国人などの留学生がいたそうだ。そんな国際的な立場で生活できたいとこは幸せだと思う。アメリカは私のあこがれの地であり、英語がペラペラになったいとこがうらやましくてしょうがない。

このように、私の周りでも少しずつ国際化の種が芽を出しはじめた。しかし、この芽は育てなくてはいけない。世界中の小さな国際化を大きくしていかなくてはならないのだ。そこで、今の日本の国際化について私なりに考えてみた。

まず国際交流のことだが、日本人はもっと他国の文化や原語、今の状況などを知るべきだと思う。国と国とが交流する場合、最も重要なことだと思うからだ。うわべだけで交流しても、決して相手の気持ちはつかめない。今私は国際交流委員会に所属しているが、そこでも同じようなことがあった。相手国のマレーシアからひんぱんに手紙や写真が送られてくるが、いざ私達も手紙をとなると全く書けないのだ。全ては知識不足が原因だったような気がする。マレーシアの状況、文化もこれといって知らずに手紙を書こうとしたからだ。片方が真剣でも、もう片方がだめならよい交流はできないのだ。交流をするにあたって相手をよく知り、誠意をもって相手に対応することは大切なマナーではないだろうか。

次に私が疑問に思ったことは、国際化が進んでいる国は先進国ばかりだということだ。先進国ばかり国際化をおし進めてはいけないのではないだろうか。先進国は発展途上国と手をとり合い、国際的ボランティアを広めていかなければならないと思う。先進国だけでなく世界中の国々と交流し合うことが、真の国際化への第一歩となるのではないだろうか。

国際的ボランティアとして今、高く評価されているのはやはり、青年海外協力隊である。学校で開いた国際理解講話で協力隊の二名の方達か

 

 

 


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