教育福島0209号(1998年(H10)02月)-045page

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らお話しをいただいたが、どのエピソードもおもしろく、興味深いものだった。中国へ行ってきたという方は、たくさんの写真や民族音楽を聞かせて下さった。知らないことばかりで、まだまだ世界は広いのだと感じた。こうやって聞いていくととても楽しそうに感じるが、実際に隊員達のやっていることは大変なことなのである。隊員達は先進国と発展途上国を結んでくれる鎖の一つ一つなのだから。国際的ボランティアとして世界にちって働く隊員達を尊敬せずにはいられない。

最後に平和について考えてみた。戦後半世紀もたつが、世界から戦争がなくなったわけではない。日本は今まで多くの戦争に参加してきた。太平洋戦争も朝河貫一博士が止めるのも聞かず参加したのだ。

世界から戦争が無くならなければ国際的な世にはならない。平和な世界にするためには国をこえた広い心と目をもっていなければならないのだ。平和と国際化…別々に見えるが、中には重要なつながりがあるのだと私は思う。真の平和が叫ばれた日が、真の国際化がスタートする時なのである。今日本では、年々戦争体験者が減りつづけている。私達は戦争の歴史をもう一度見なおし、真の平和を求めなければいけないと思う。「世界における人間の立場を、すべてにわたって意識するまでに進歩しているかどうか、それこそが重要である。」日本に、そして世界に広い視野をもてと語りかけた朝河貫一博士は、やはりすばらしい国際人だったのだ。

国際化はいつも私達のそばで芽を伸ばし続けている。近づく二十一世紀にそなえて。これからは、私達の力で新しい世界を作っていかなければならない。朝河貫一博士の夢をかなえるためにも、私達ががんばらなければならないのである。

世界の人々が手をとりあって世界のために前進できる…そんな二十一世紀のために、今は国際化の芽を伸ばしていかなければならないのだ。そしていつか、私達の手で私達の真の国際的世界を、夢を、つかみとろうではないか。

 

心の絆を

 

福島女子高等学校一年

小柳和花奈

 

、日本の若者の多くが持つ考え方なのだと思うと、失望感で一杯になりました。

 

「海外に行くなら、ヨーロッパがいいよ。アジアは汚いから嫌だよね。」教室のざわめきの中からふいに聞こえて来た言葉が、私の胸に刺さりました。私は、これが今現在、日本の若者の多くが持つ考え方なのだと思うと、失望感で一杯になりました。

日本は、アジアとの文化や歴史の関係がとても深いにも関わらず、日本もアジアの一員だという事を忘れてしまっているのです。確かに、ある地域では水道水も安全性に欠けるために飲めず、雨水をシャワーにしている様な所も少なくないのです。しかし、その不便さや貧しさ、そしてその苦しみに耐える強い力と、人間の心の優しさ、心の豊かさを持っています。それは、日本人がいつの間にか忘れてしまった人としての心であり、日本人が取り戻さなければならない心でもあります。生きる事に一生懸命になる事により、彼らはお互いの苦しみを知り、そして温かい心で助け合っているのです。私は、その彼らの本当の姿を知る事により、豊かな物質の中で気持ちまで無彩色になりつつある私達日本人が、本当に豊かとは言えない事に気付きました。本当の豊かさとは、人の心の中にあるものだと私は強く感じ、彼らへの偏見によって一様に見下す日本人に、私は羞恥しました。

アジアに対して日本人が持っている偏見こそが、これからの国際社会に生きる日本にとって大きなマイナスとなっている事を、私達は自覚する必要があるのです。これからは、一人一人が国際化へ向けて様々な問題

 

 

 


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