教育福島0210号(1998年(H10)04月)-012page
三 道徳教育の充実
学校における道徳教育は、児童生徒一人一人が、道徳的価値にかかわって人間としての在り方や生き方について、自分の考えをしっかりともち、自分のよさを生かして豊かな自己実現が図られるよう教師が支援していくことが大切である。
1 道徳教育計画の改善
自校の課題解決を図り、道徳教育が重点的、発展的、系統的に行えるような指導計画に改善する。
(1) 自校の児童生徒たちの道徳性を把握し、道徳的課題を明確にする。
(2) 課題解決に向けて、各教科や特別活動との関連を図った年間指導計画に改善する。
2 内面に根ざした道徳性の育成
豊かな体験活動を通して児童生徒の内面に根ざした道徳性の育成に努める。
(1) 道徳の内容の四つの視点から学校教育活動における体験活動をとらえ直し、道徳的な豊かな体験活動ができよう支援する。
(2) 豊かな体験活動の中で直面した道徳的問題や課題の解決を図りながら、内面に根ざした道徳性の育成に努める。
(3) 家庭、地域社会との連携を積極的に図り、一貫した道徳的実践の指導ができるようにする。
3 「道徳の時間」の指導の充実
全教育活動を通して行われる道徳教育を補充、深化、統合する「道徳の時間」の指導の充実を図る。
(1) 道徳の時間においては、豊かな体験活動とその中にひそむ道徳的価値や問題等を明確にした指導に心がける。
(2) 人間としての生き方を十分考えられるように指導法を工夫し価値の内面的自覚を促す。
4 環境による指導
道徳性の育成の場にふさわしい環境の充実・整備に努める。
(1) 児童生徒同士や教師と児童生徒の豊かな人間関係の醸成に努め、よさの尊重や認め合いが日常的に行えるよう人的環境づくりに努める。
(2) 校舎・校庭や教室の物的環境の整備、言語環境等の整備に努め、道徳性を育てる。
四 特別活動の充実
新しい学力観に立つ特別活動の指導は、児童生徒一人一人がもてるよさや可能性を生かし伸ばすことを指導の根底に据えて、展開することが大切である。そのためには、児童生徒を中心とした主体的な活動を基本にする必要がある。
1 特別活動で育てる学力
望ましい集団活動を通して、次のような特別活動で目指す学力を身に付けさせていくことが大切である。
(1) 集団の中でどのように行動することが望ましいのか、学校生活をより充実させるには、なにをどのようにしたらよいのかなどという「価値選択能力」
(2) 教科等で学んだ様々なことを総合して生かし、創意工夫したり、計画したり、役割を遂行したりする力
2 特別活動の授業の改善・充実
このような学力を育成するために、教師は児童生徒一人一人の活動や成長の過程を大切にし、よさや可能性が高められ豊かになるよう個に応じた指導の在り方を工夫・改善していく必要がある。
(1) 協力的な指導体制の確立
児童生徒のよさや可能性を多面的にとらえ、自己実現に向けて協力的な体制で対応することが大切である。
1) 全教師が指導計画の作成、日常の指導と評価を行うなど、共通の基盤に立っての指導
2) 組織や指導の分担の明確化
3) 指導方法や評価についての共通理解
(2) 内容の精選と授業時数の確保
児童生徒が主体的に思考し、判断し、活動できる教育的価値に富む内容を選択し、精選することが大切である。
1) 児童生徒の願いや考えを尊重し、主体的な活動を助長していくという視点からの精選
2) 各内容の必要な授業時数の確保と活動時間の弾力的な運用
(3) 学習環境の整備と拡大
適切な教材を工夫し、選択するとともに、教師と児童生徒、児童生徒相互の人間関係を豊かにすることが大切である。