教育福島0210号(1998年(H10)04月)-017page

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十一 幼稚園教育の充実

 

幼児期は、生活の中で自発的、主体的に環境とかかわりながら直接的・具体的な体験を通して、生きる力の基礎となる心情、意欲、態度などを身に付けていく時期である。

幼稚園教育は、そのような幼児期の特性を踏まえ、環境を通して行うものである。

 

1 幼稚園教育の基本

 

(1) 幼児が自ら環境とかかわることにより、つくり出される具体的な活動を通して幼児の望ましい発達を促す。

(2) 幼児の自発的な活動としての遊びを中心とした生活を通して、一人一人の発達の特性に応じた総合的な指導が行われることを重視する。

(3) 教師は、幼児との信頼関係を十分に築き、物的・空間的環境を構成する役割と、その環境の下で幼児の心に触れながら、幼児の思いが実現できるようにしていく役割を果たす。

 

2 幼児期にふさわしい教育内容の改善

 

(1) 幼児が自分を取り巻く環境に自らの動機、意欲をもって取り組む主体的活動が十分確保されるようにする。

(2) 幼稚園教育の目的、目標に向かって、どのような経験がどのような発達を生み出しているのか、保育の記録を手がかりにしながら明らかにする。

(3) 幼児の生活する姿と教師の願いを、どう重ね合わせていくのか理解を深めながら、具体的なねらいや内容、環境の構成など指導の順序や方法を明確にして指導計画を作成する。

(4) 幼児が、興味をもった遊びにじっくりと取り組んだり、遊びを充実させたりしていくことができるように教育内容を精選する。

(5) 日常の保育の中でとらえた幼児の発達する姿と、教師の指導に対する反省を生かしながら、今求められている学校教育の新たな方向を見据えて、教育課程の編成や評価、改善をする。

 

3 心の動きに添った指導の充実

 

(1) 教師は、自分の判断の基準を幼児に押しつけるのでなく、幼児の姿を「この子供は、今こうなのか」と、肯定的に受け入れたり、温かな期待を寄せたりして見守っていく。

(2) 教師は、幼児の表面的な動きのみに目を奪われることなく、幼児の内面を見つめ、幼児の中に育っているものは何であるのか判断しながら援助する。

(3) 一人一人の幼児が何に興味をもち、どのような発達の流れの中で、今その遊びに取り組んでいるのか探りながら環境の構成や援助をする。

(4) 幼児の心に寄り添いながら、その幼児らしい考え方や思いを大切にし、そのよさや特性が十分生かされたり、発揮できたりするような配慮をする。

(5) 幼児同士がよい刺激となり、お互いにモデルとなって育ち合いがなされるように、一人一人にとって安心して自己を発揮できる集団となるように育てていく。

(6) 適切な指導を行うために、教師は自分自身にも目を向けて、自分はどのような姿勢で幼児とかかわっているのか、なぜそのようなかかわりをしたのかなどについて、気づくことができるようにする。

 

4 幼稚園の弾力的な運営

 

(1) 保護者と教師との間に、幼児を大切に思う者同士としての、信頼関係や心のつながりを育てる。

(2) 教育を実りあるものにするため、幼稚園では、多様な形態での活動、複数の教師による保育、学級の枠を超える柔軟な指導方法等の工夫をする。

(3) 日常から教師同士が意見を交換しながら協力関係を築いて園内研修の充実を図り、園長は、各種研修会の必要性を認識して、教師が研修会に参加しやすい組織等の整備をする。

(4) 社会状況の変化に対応して地域の未就園児の親子登園や地域の様々な人々との交流等積極的な子育て支援をする。

(5) 幼稚園から小学校に、余裕をもった移行ができるように、小学校と相互の理解を図る。

 

 

 


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