教育福島0210号(1998年(H10)04月)-037page

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全身的機能障害のある脳性まひのQ子に対して、Windowsに対応した入力装置プッシュマウスの開発により、指一本でマウス操作ができるようになった。この装置によりWindows対応ソフトウエアによる学習が可能になった。その結果、Q子は、「〜をやってもらう」「〜される」という依存的、受け身的な生活環境から「〜を行う」「〜できる」という主体的・自主的生活が可能となり、自分の「思い」を実現し、自ら積極的に生きようとする力や学習意欲が高まった。

 

Q子の「プッシュマウス」によるコンピュータ活用

 

Q子の「プッシュマウス」によるコンピュータ活用

 

これらの実践から、障害のある子供のコンピュータ教育は、次の四つの視点での詳細な検討の重要性が明確になった。

(1) コンピュータ操作能力及び操作性の向上に関する実態把握

(2) 対象児の実態及び障害の特殊性に応じた環境整備のための把握

(3) 対象児の興味・関心に応じた学習内容の精選及び学習方法の選択

(4) コンピュータ教育の必要性及び教育方法・内容の明確化

養護教育におけるコンピュータ教育は、障害の特殊性に応じた活用環境の整備と対象児の興味・関心を大切にした学習環境の整備が基本条件である。そしてコンピュータ教育の必要性・有効性を十分に検討し、子供の実態に応じて進めることがもっとも大切である。

 

《プロジェクト研究3)》

「学校との連携を基盤にした教育相談の在り方に関する研究−−不登校児に対する心理特性を生かした支援の在り方−−」

不登校児への対応は、子供の気持ちを尊重し、その心情を十分に理解しながらきめ細かな対応が重要である。「対応の在り方を共通理解の上、同一歩調で進める」「再登校における受け入れ環境作りの工夫」など、学校や家庭における子供の状態をきめ細かに把握し、適切な支援が必要であり、その際の学校や家庭との連携が重要になってくる。そこで、子供とかかわる教師や家族が本人の心理特性を正しく理解すること、相談員と担任などが行き来しあい、学校での様子、来所時の行動観察からの子供の状態などのきめ細かな情報交換を行うことを通して、不登校の段階に応じた学校や家庭でのかかわりの在り方について共通理解のもとに支援を行った。これらの実践により、学校での支援体制が充実したこと、教職員のかかわりが同じ視点でなされるようになったことなどにより、子供と家庭、学校などの関係がよくなり、不登校状態もしだいに改善されていった。

なお、研究の詳細については、平成九年度研究紀要(第十二号)を参照してください。

 

共通理解に立った対応

 

共通理解に立った対応

 

 

 


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