教育福島0211号(1998年(H10)06月)-020page
研究実践1)
心豊かに行動できる生徒の育成
−学校と家庭・地域の連携を通して−
いわき市立中央台北中学校
一 研究主題設定の理由
本校は、市内でも有数の新興住宅地を学区としている。生徒数は約九百名にのぼり、今後も増加の傾向にある。地域住民のほとんどは、他地域からの転居者であり、連帯意識がやや希薄な面もみられる。価値観も多種多様であるが、保護者の教育に対する関心は高く、学校に寄せる期待も大きい。
生徒は、さまざまな分野で活躍し、学習活動も活発である。しかし、諸調査の結果を見ると、感謝の心や思いやりの心、集団生活を向上させようとする心に欠ける面が浮きぼりになった。
そこで、学校と家庭・地域が相互補完しつつ、心豊かに行動できる生徒の育成をめざし、本主題を設定した。
二 研究仮説
(1) 学校教育活動全体を通して道徳性を高め、それを生徒活動の場で素直に表現し、行動できるよう生徒指導の機能を生かし意図的・計画的に支援・援助していく。
(2) 学校と家庭・地域が、互いに学校内外にわたる生徒の姿について情報を共有し、共に生徒を育てることを意識し、意見交換ができる開かれた学校づくりをめざす。
以上のような研究を進めれば、心豊かに行動できる生徒を育成することができるであろう。
三 研究実践
まず、主題の実現をめざし、本校生徒の現実の姿、家庭・地域の実態、保護者・教師の願いを考慮し、「めざす生徒像」が持つべき心を次の四つにまとめた。
○自分を見つめる心
○他を思いやる心
○感動する心
○奉仕する心
主題と「めざす生徒像」が持つべき心に迫るために、次の四つの研究部を設け、それぞれのねらいのもとに具体的な実践に移していった。以下にその一端をあげる。
1 授業研究部
(1) 生徒指導の機能を生かした授業における教師の留意点を示し、それをもとに各教科ごとに具体的な手立てを明確にして、授業づくりの指針とした。
(2) めざす生徒像に迫る「道徳の時間」の授業を展開するために、指導過程における重点項目や生徒指導の機能との関連を明らかにした指導過程の形式を提示し、授業に生かした。
2 生徒活動研究部
集団生活の向上をめざす活動の一環として、朝と帰りの短学活に力を入れた。
(1) 一人一人の生徒が自己の生活を反省し、めあてを持ち、自己や集団の生活を高めようとする意識を育てるために、生活ノートを活用して、めあて設定の場や自己評価の場を位置づけた。
(2) 相手の主体性や人格を認め、自らも認められる温かい人間関係を醸成するため、「よいところさがし」というコーナーを設け、お互いのよいところをカードに記入し、交換し合った。
(3) 「今日のメニュー」(学級創意のふれあい活動)を通して、所属感や連帯意識を培い、集団活動を高めようとする意識の高揚を図った。