教育福島0211号(1998年(H10)06月)-025page
ます。育ちゆく力がもともとあるのです。その力をどのように勢いのあるものにしていくかを考えていくことが大切であると思います。
「心の教育」が大きくクローズアップされていますが、心は育つものであり、教えるものではないと思います。
「君は星になりなさい。朝も昼も夜も子供たちが眠っている時もそっと、天空から見守ってあげるのです」大学の恩師の言葉です。これまでの子供たちとの出会い、そしてこれまでのかかわりの中で、子供たちの「育ち」を見守っていくことの大切さをかみしめています。
(養護教育課指導主事)
生徒との信頼を大切に
松田勘太
教師になって早くも二十一年目になろうとしています。私は新採用で三年生を担任しました。県内では二人だけだったと思います。
最初は何もわからないまま、先輩の先生方にいろいろと教えていただいて、何とか卒業させることができたことを覚えています。
あの当時を思い出してみると、学級経営で悩んだり、わからないことがあると、すぐに先生方に相談をしました。また先輩の先生と一緒に酒を飲みながら悩みを打ちあけ、実にたくさんのことを教えていただきました。また生徒との関係も先生というよりは、兄貴といった感じで生徒と接していました。
今までの教員生活の中でたくさんの卒業生を送り出しましたが、結婚式に招待されたり、飲み屋で会って思い出話で酒を飲む時、教師をやっていて良かったなあと思う反面、あんなこともやってあげたかったと反省することも多くあります。私たち教師は長くて三年間同じ生徒と共に学校生活を送ります。生徒は教師を選ぶことはできません。だからこそ教師の方で真剣に生徒のことを考え、生徒の成長を願って努力していくことが私たちの使命だと思います。
私は教師として大切なことは、教師と生徒との信頼関係の構築だと考えています。
最近中学生によるいろいろな事件が多発しています。学校教育にかかわる者として残念なことです。今の子供が変わったのか、世の中がどこかおかしくなっているのか……。大人の社会でも様々な問題があります。
しかし、もう一度じっくりと教育について考える時ではないでしょうか。さらに二十一世紀を迎えようとしている今、学校・家庭・地域とが一体となって子供の人格の完成を目指すべきだと思います。
家庭の中でも親子の対話を多くし、人の生命の尊さ、思いやり等についてじっくりと話し合ってほしいと思います。私たち教師も生徒理解に努め、本音で語り合える人間関係を作りあげながらの指導が大切であると考えています。
今年も担任をしていますが、生徒との信頼関係を大切にして、生徒の健やかな成長を願って、これからも努力していきたいと思います。
(新地町立尚英中学校教諭)
鉄は熱きうちに
小暮徳一郎
私は群馬県の農村で生まれ育った。剣道を習い始めたのは、小学