教育福島0212号(1998年(H10)07月)-009page
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の特質に応じてなされることからその場の指導で終わったり、断片的であったりする。例えば豊かな体験活動の場を設定しても、体験させただけでは、その過程において行われる道徳的価値の学習は十分と言えないことが多い。
そこで、道徳的価値についての総合的な学習がより効果的に行われるようにするため、次の観点から検討してみる必要がある。
○ 各教科や特別活動における道徳教育のねらいと道徳の時間の指導とが有機的に関連し合っているか。
○ 各教科、特別活動、日常生活の中で、子供自身の課題意識を掘り起こしているか。
○ 課題意識の掘り起こしにかかわって、子供たちが主体的にかかわりを深め心を動かす体験を行っているか。
○ 道徳の時間の中で、多様な道徳的価値観にふれ、真剣に自分自身を見つめる場があるか。
○ 道徳の時間を離れて、道徳的実践の場が、年間を通じて計画的、発展的に設けられているか。
二 道徳の時間の指導の充実
(1) 自ら考えることを大切にする
道徳の時間においては、子供一人一人に、道徳的価値について考えを深め、自ら考え、判断して行動することの大切さ、その行動に対して自ら責任をとることの大切さに気づくことができるようにしていく必要がある。
そのためには、子供一人一人がこれまでの自己(自分の言動や見方考え方等)と資料等による道徳的価値やその価値に対する友人等の価値をもとに、自己内における対話を通して自己を見つめる授業を工夫することが求められる。
○ 全教育活動における体験活動との関連を重視するなど、体験とかかわりながら子供が自ら考えることができるよう工夫する。
○ それぞれの思いをふくらませる場、表現する場、共に考える場、自己内対話の場を確保する。
〇 一つの内容項目に関連する主題を一つの単元のようなとらえ方をし、教科学習や特別活動での学習、日常の生活との関連を図りながら児童生徒の実践意欲につながるよう工夫する。
(2) 多様な指導方法を工夫する
子供の側に立った道徳の授業を展開していくには、まず、よさを認め励まし伸ばす指導を充実させていくことが大切になる。さらに、興味・関心や意欲を高め、児童生徒自身の感じたことや考えたことを伸び伸びと表現させることができる学習活動を吟味し、取り入れていくことが望まれる。
○ 資料に描かれている道徳的問題や課題に豊かに反応する資料提示の工夫
○ 資料の場面状況を構造的に把握させる工夫
○ 児童生徒の道徳的価値観をゆさぶり、多様な価値観を引き出す発問の工夫
○ 簡単な動作化や役割演技など演技的な表現活動の導入
○ パネルディスカッションやディベートなど児童生徒が意欲をもって取り組める話し合い活動の導入
三 豊かな体験の場の充実
学校教育活動全体で実践される豊かな体験活動は、それぞれ独自のねらいをもっている。それらのねらいを道徳の価値内容とのかかわりで捉え直しておくことは、道徳の時間の指導を充実させ、子供たち一人一人の道徳性をより広く育む上で重要になる。
また、家庭や地域社会との連携を図り、日常生活における基本的生活習慣や望ましい人間関係の育成にかかわる道徳的実践が促されるよう配慮しなければならない。
○ 道徳の価値内容の四つの視点と体験活動の関連を見直した場合、よさや可能性を発揮する場や機会が確保されているか。
○ 教師と児童生徒との信頼関係を築くとともに、児童生徒相互の認め合い、励まし合い、助け合い、学び合う場と機会が積極的に設けられているか。
○ 豊かな人間関係を基盤とした様々な学習活動や体験活動の中で学級や集団のために働く場や機会があるか。
○ 道徳的な環境や自然環境、人間関係の中で感動する場や機会があるか。
○ 家庭や地域社会との連携を図り、家庭や地域社会における様々な体験や行事などを学校の道徳教育と結びつけ、共通理解の上に立って道徳的実践を広げる場や機会があるか。
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