教育福島0212号(1998年(H10)07月)-010page

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平成九年度

福島県道徳教育振興会議

 

子供と語ろう!

生き方・あり方。

親が、地域が、学校が。

−三者が一丸となって地域の子供を育てよう−

 

平成九年度福島県道徳教育振興会議は、会津の喜多方地区を中心に開催されました。

この会議は、毎年各教育事務所単位に巡回して開催し、家庭・地域社会・学校が一体となって道徳教育を推進させ、県民総ぐるみで二十一世紀を担う青少年に豊かな心を育んでいこうと実施されているものです。

平成九年度は、神戸の事件など少年による事件や校内暴力、いじめ、登校拒否などが社会問題となる中での開催でした。喜多方市を中心に、各分野で活躍されている二十名の委員の方々から、道徳教育を中心として、子供たちの心の教育のあり方について、貴重なご意見をいただきました。

提言をまとめるに当たっても、様々な角度から意見が出されました。家庭、地域社会、学校はどのような役割を果たすべきなのかを具体的にまとめたものが、次頁の「提言」です。

喜多方地区ならではの、温かい心がいっぱい詰まった「提言」の内容を御理解いただいて、それぞれの立場で子供の心をよりよく育むために、一層のご尽力をいただきますようお願いいたします。

 

(振興会議のようす)

 

(振興会議のようす)

 

今こそ地域をあげて心の教育を

会長 齋藤安俊

 

喜多方地区には、道徳のよりどころとなる優れた先人の業績や教えが幾つも語り継がれ残っています。

例えば、江戸〜明治時代の瓜生岩子刀自。戊辰戦争での負傷者の救助活動をはじめ恵まれない子供や貧しい人々のための社会福祉に一生を捧げ、「日本のナイチンゲール」「日本のマザーテレサ」と称されています。今日、その優しいお顔の銅像が、当市の他にも熱塩加納村、福島市、東京都(浅草)に鎮座しており、訪れる人に「自分ばっかり良くなったって、何にもならねえと思います」という彼女の思想の一端を静かに語りかけております。

また、明治〜昭和時代の蓮沼門三先生。東京都師範学校時代から正義を愛し奉仕の精神に富み、後に当時の学校教育に多大な影響を与えた奉仕集団「修養団」を組織し、「ボランティアの祖」と仰がれています。昨年、喜多方広域演劇制作委員会「圏民劇」で、この蓮沼門三先生の生涯のエピソードを演劇として上演し、地区民に多大な感動を与えました。

さらに、江戸時代、近江の中江藤樹翁を祖とする「藤樹学」の教え。これは、「知って行わなければ、本当に知ったことにならない」「慢心を斥け謙虚な心をもってものに接する」など、人たる道の修養を説いた思想で、喜多方地区で特に普及し、長く地域の心の支えとなってきたものです。

今日、青少年の心の教育にまつわる問題が取り沙汰されるにつけ青少年の心に再び深く根付いてほしい思想ばかりです。

さて、平成九年度の福島県道徳教育振興会議を当喜多方地区でお引き受けし、各界各層二十名の委員によって五回の会議を開催し、道徳教育の振興策について検討を重ねて参りました。

振興策をまとめるに当たっては少年非行や登校拒否等が大きな社会問題となっている現状を直視すること、地域をあげて道徳教育の充実に取り組むこと、そのためには家庭・地域社会・学校のそれぞれに期待することを具体的に提言すること、さらに地域の精神風土を見直し生かすことなどを基本に捉えて進めて参りました。

この提言が、家庭・地域社会・学校それぞれにおける道徳教育の充実に少しでも役立てば幸いであります。

 

 

 


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