教育福島0212号(1998年(H10)07月)-029page
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って来たことは、否定できません。わが国の文化の象徴ともいわれる米は、その代表ともいえます。しかし、これまでの歴史では、海からみた研究はあまりされてこなかったといえます。
私は、これまで県立博物館で福島県の歴史・民俗について調査・研究をしてきました。福島県という地域を、内陸という生活空間を対象として目を向けてきました。このたびの異動で、生涯学習課海洋文化・学習施設整備室に勤務することになり、海側から福島県の歴史・民俗をみております。海と人々との関わりの歴史を、福島の海を舞台に考えております。福島県沖は、親潮と黒潮がであうところで、「潮目の海」ともいわれております。北と南の海の国々の文化がであう海域です。また、北の海や南の海の魚類・動物類が回遊する海域であり、豊富な自然資源を有しております。こうした自然環境を人々は巧みに生活に利用してきました。縄文時代の貝塚などは、その一例です。いわき市の寺脇貝塚や大畑貝塚などには、北の海のトド・アザラシ・オットセイ、南の海のクジラ・イルカなどの骨が出土しており、それらを捕獲する独特の漁具もあります。これらは全国的にみても、貴重な資料です。また、近世のいわき地方の各浜には、紀井や房州などの漁民が多く従来し、発達した漁法や漁具、製塩技術などを伝えております。このように、海を通して多くの歴史が、私たちの想像以上に多くあります。今後、海からみた福島県の歴史を新たな目で見たいと考えております。
(海洋文化・学習施設整備室主任学芸員)
現実を見つめて
大塚雄一
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際限のない可能性を求め、パソコンを使用するようになってから、早十年が経過しようとしている。パソコンは予想以上に事務処理の効率を高め、仕事に欠くことのできない道具となった。「何ができるのか」「どこまでできるのか」と探求心が掻き立てられ、いつしか虜になっていた。
やがて、学校教育の現場にパソコンが導入されるようになり、その活用を模索することになった。コンピュータ・リテラシーの育成を図りながら、教科の学習内容の定着を目指した。
子供は、パソコンに対して、とても高い興味を示し、期待した以上に早く操作をマスターする。教科の学習内容の定着という点では、他にもっと良い方法があるかもしれないが、コンピュータ・リテラシーの育成を主眼に据えれば、その効果は絶大である。
近年、インターネットが急速に普及し、まもなく学校現場にも設置が予定されていることから、授業の中でホームページの作成を行ったことがある。普段おとなしくあまり目立たない子供でも、とても巧みに創り上げ、驚くことばかりであった。創造力の豊かさの発見及び育成に効果的な内容であり、自己表現力の育成にも有効な手段であったと思う。
パソコンの活用は、何もかも良いことばかりではない。使用目的を明確にし、問題点を明らかにした上で指導にあたらなければ大きな危険性もあると考えられる。
実生活の一部にパソコンを使用するのはよいが、それに埋もれてしまって、現実との区別がつかなくなるのではないか、という心配がある。特に、命の重みは、パソコンではわからない。電子ペットを飼い、死んでも簡単にリセットボタンで復活することに慣れ親しみ、命の尊厳さには疎くなってしまっている子供たちもいるのではないだろうか。「このカブトムシ、壊れちゃったよ。」という都会っ子の言葉を耳にしたこともあり、とても気にかかる。
現実と非現実の狭間に生きる子供たち。今、教師の役割は単にパソコンを活用させるだけではなく、もっと心の奥深い領域まで考えながら、子供を育てていかなければならないと思う。
(泉崎村立泉崎中学校教諭)
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