教育福島0212号(1998年(H10)07月)-039page

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文字や絵を書いたり、紙工作をしたりするのに時間がかかり、消極的な面が見られる。

以前に体験し、自分でもできるという見通しが持てる活動へは意欲的に取り組むが、難しい場面になると、「先生やって」と教師の援助を要求する場合が多い。

そこで、パソコンを活用すれば、次のような改善が図られると考えた。

(1) 腕や手首を大きく動かせないという障害部分が補助できれば、表記する範囲や速さが増し、積極的に表記活動に取り組めるようになるであろう。

(2) 映像や音声の刺激があり「自分が動かしているんだ」という意識がもてるパソコンのキャラクターを利用すれば、「作りたい」という意欲を喚起することができるであろう。

これらを行うためには、以下のハード面の工夫と、A子の実態に応じたソフトを選択する必要がある。

(1) 移動の範囲が広いマウスを使用せず、トラックパッド(クレジットカード程度の大きさの板の上で指一本で操作できる入力装置)付きのパソコン。

(2) A子が自分で操作の方法を理解し、操作できるお絵かきソフト。

(3) 興味・関心を引きつけるようなキャラクターで、工作に関係する活動ができるソフト。

本研究では、A子にあったソフトをどのように選択し、手に入れるかという点の検討が必要である。

教員がその子供に合ったソフトを作成するのが一番良いと考えられるが、作成のためには、プログラム言語を理解しなければならず、また、作成には時間がかかる。現在では、簡単にソフトを作成できるオーサリングソフトとよばれる物も出てきている。しかし、初心者には使用法が難しく、実用に耐えうる物は高価なため、なかなか購入できない。国立特殊教育総合研究所の教育工学部に全国の養護教育に携わる教員が作った自由に配布できるソフト(SE-PDS)が収集されつつある。しかし、ソフトの内容が、子供の実態や学習内容にあっているかどうかの判断が難しい。教育用ソフトとして市販されているものが多いが、やはり高価である。

そこでA子が使うパソコンソフトを選択する方法として、インターネットやパソコン通信等を利用し、自宅(学校)に居ながらソフトを入手・選択できるように考えていく。

3) 研究計画

1 ソフトの選定

・お絵かき用ソフトと工作用ソフトの選定

・パソコン通信、インターネットの活用

2 絵画・工作への意欲の喚起

・のびのびと絵で表現する実践

・工作への意欲を高める実践

3 ハード面については、トラックパッド付きノート型パソコンを使用し、A子用のパソコンとして、自由に使えるように設置する。

4) 研究の実際と考察

1 ソフトの選定

(1) お絵かき用ソフト

昨年度より、文字については、ゆっくりではあるが、パソコンをワープロとして利用していた。そこで、絵を描くため、A子に合ったソフトをパソコン通信やインターネットを利用して選定し、ダウンロード(自分のパソコンへソフトをコピーする)して活用した。今回は、パソコン通信の障害児教

 

図2 パソコン通信を利用したソフトの入手・選択方法

 

 

 

 

 


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