教育福島0213号(1998年(H10)09月)-026page
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やっと手にした夢
横田哲夫
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八月十日午後三時四十七分体育館にブザーがこだまし、生徒の飛び上がる姿があった。今まで見たことのない笑顔の生徒。自信に満ちあふれ、応援にきていた父や母にこぶしをつき上げガッツポーズをする生徒。東北中学校ハンドボール大会決勝の終了の時の様子である。五年ぶり二度目の全国大会出場を手にした。二度目といっても、今の生徒たちには初めての出来事であり、私にとっても教師になって初めての全国大会出場である。
正直にその時の気持ちを表現すれば、うれしいと同時にホッとしたと言うのが本音である。新チームになって以来秋の新人戦より負けた事がなく、自信をもって臨んだ大会だが、その分父母の期待も大きくプレッシャーも大きかった。楽な試合など、一試合もありようがなく、胃のいたむような時間だったが、生徒たちはプレーを楽しむようにのびのび動いているのが不思議に感じられた。私以上に生徒たちの方が強い精神力を持っていたようだ。
この一年間十分な練習を積み重ねたつもりでも、やり残した事はたくさんあった。それが私自身の不安になっていたのかもしれない。でも学校の部活動であり、いろいろな制約の中で、できることは限られている。それはどのチームでも同じであり不満はいっていられない。指導者として今できる事をしてあげたい。県外遠征もいつもより多く行った。それだけお金もかかったし、練習時間も多くなった。保護者、学校、そして私の家族にも迷惑をかけた。
学法石川高校のハンドボール部を長年指導しておられる小針先生に、生徒の資質、保護者の協力、学校の理解、指導者の力量の四つがそろわなければ、全国大会に出場できるチームは育てられないと教えていただいた。そして昨年度から外部コーチとして学石OBの有松君の協力を得ることができ、何とか四つの条件を満たすことができたように思う。
大会が終わると、中学校の部活動とは何なのかと自問自答をくり返すことがある。休日返上の練習など、生徒にも、指導者にも多くの犠牲を強いる場面がある。しかし、試合後の、笑顔の時もあり、涙の時もあり、その時の生徒の姿を見るとやめられない自分がそこにいる。
(石川町立石川中学校教諭)
鳥との出会い
満田信也
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「先生、これなんですか」教員になりたてのころに、分校の子供が手にしていたのは、黒地にオレンジ色ののどをした美しい鳥だった。窓にでもぶつかったのだろうか。さっそく、その落鳥を校舎に持ち込み図鑑で調べた。キビタキ-県の鳥だった。
山奥の学校は自然が豊かにあふれている。ルリボシヤンマ、テングチョウ、キベリタテハが校舎に舞い込み、廊下では迷い込んだトガリネズミが出口を求めてうろうろしている。付近の沢ではイワナが岩かげにひそみ、滝つぼからは
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