教育福島0213号(1998年(H10)09月)-037page
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六 研究実践と成果
1 道徳
(1) 自己認識への働きかけを行う指導過程や教材の工夫をし、「人権教育指導計画」を年間指導計画に位置付けた。その結果、指導の重点化が図られ、互いの個性を尊重する生徒が増えたことを授業等の言動から感じることができた。
(2) 「事前研究→全学級での授業→事後研究→全体協議」という手順で計画的に授業研究をくり返すことで教師の意識が高まり、指導の諸場面で「認め、支え、磨き合う」ことの重要性を確認できた。
(3) 体験的内容、学級会形式、グループエンカウンターなど、参加型の授業を多く取り入れたことで、生徒に積極性が増し、互いの個性を認め合う姿勢が身に付いた。
(4) 授業資料、話し合い内容等のファイルの累積や、掲示コーナー「心の窓」の提示を行った。その結果、人権を尊重することの大切さについて振り返ることができ、心情面がより深まった。
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2 特別活動
1) 学級活動
○「認め、支え、磨き合う」学級づくりを目指し、アンケートなどをもとに、生徒一人一人の思いのこもった学級目標が設定できるように十分話し合わせた。
○授業で育成された、互いのよさを認め合う態度を生かすことのできるよう、学級の運営、諸行事への参加の仕方等を工夫した。生徒はより意欲的に諸活動に取り組み達成感を味わうことができた。
○いじめ等の交友関係など身近な問題について、人権意識を土台とした話し合いが活発に話し合われるようになった。
2) 生徒会活動
○「認め、支え、磨き合う」視点からの目標をもとに各自のめあてや役割を明確にした。生徒は、主体的に活動し、人権尊重の精神が活動の円滑化につながることを体験し、やり遂げる喜びを味わいながら生徒会の運営ができた。
3) 行事等
○作文発表、企業訪問体験発表、講演会、広報活動等を通して、人権について多様な価値観に触れさせ、人権意識の高揚を図った。
3 教科
○各教科で具体的実践事項を設定し、年間指導計画に位置付けた。
○考える時間の確保、一人一人の活動を支える支援の工夫、生命尊重に関わる内容の重視、自己評価活動の計画的位置付けなどにより、個の能力の高まりと自己理解の深まりを図った。
○教え合う学習、よさを認め合う発表の場の設定、相互評価の充実、リーダーの育成等により互いの個性を尊重し、励まし合って活動できる態度の育成を図った。
これらの学習により、個を尊重し支え合う豊かな人権感覚の大切さを生徒が認識し、互いの能力を認め合う取り組みが多くなり、授業が活気あるものとなった。
七 今後の課題
日常生活やアンケート調査などからは、人権尊重を土台とした学習や活動を通して自己を確立し、自信をもって自己を表現する生徒が増えていることがうかがえる。しかし、他を真に思いやり、自分の利害を超えて行動することについては十分でない。
今後は、人権について考えることを通して生徒の中に芽生えてきた他を思いやる心情を土台に、それが具体的な判断力や行動力につながっていくよう、人権感覚を磨き合う地道な活動をさらに継続していきたい。
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