教育福島0213号(1998年(H10)09月)-040page
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(3) 新たなアプローチ
課題
・「一緒に遊ぶ」ことから、教師の支援を受けながら「学習の流れに沿った取り組みができる」ためにはどうすればよいか。
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手だて
1) K児が興味をもっている活動を学級全体の活動にして(例、はさみと紙を使った学習)、担任の支援の下、できることを増やしていく。そして、担任や友達から認められることで、自信をもたせる。
2) 学習活動に集中できず、他のことに興味が移ってしまうときは、K児が行っている活動にその場で担任も付き添い、自ら戻るための行動を起こしたときには、きちんとほめる。
3) 「教室に行ってから遊ぼう。」「連絡帳を出してから遊ぼう。」など、ちょっとした約束事をする。
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変容
・ 「〜してから遊ぼう」という約束事を受け入れてくれるようになった。そのため、担任と一対一のかかわりがなくとも教室に行き、朝の準備を始められるようになった。
・ K児がやりたい、できる活動を取り入れたことで、担任の促しに応じて活動に取り組めるようになってきた。さらに、担任がいなくても、子供同士で遊ぶ姿が見られるようになった。
3 成果
(1) 担任との関係づくり
登校後、昇降口から教室まで、担任が相撲遊びなどに繰り返し取り組んだことで、K児が担任の働きかけを受け入れることができるようになった。さらに、遊びを共有したことで、担任が自分の活動を保証してくれる存在となり、信頼関係ができあがっていった。
(2) 学習環境の工夫
マットやタイヤブランコなどを教室に設置したことは、登校後、教室への移動を円滑に促したと言える。また、教室がK児にとって学校生活での核となる場所になり、落ちついた行動がとれるようになった。さらに、教室での遊びを通して友達とかかわる姿が見られるようになってきたことは、大きな収穫である。
(3) 子供を主体とした授業
当初は授業を考えるとき、子供の実態を考慮しながらも、担任の願いに基づいて活動を展開していた。しかし、研究の過程で「子供の意思や興味・関心を的確に捉え、どのようなかかわりをすればよいのか」を考えることの必要性を痛感させられた。
子供の思いを思いやり、その意思を尊重し、寄り添いながら適切な支援を行うことで、子供を主体とした授業ができるようになったのではないかと考える。
四 今後の課題
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学習発表会の練習後に教室で
○ ほとんどのグループで出されている課題に、「教師の働きかけの工夫(支援のあり方、かかわり方)」がある。集団においても、個別に指導するにしても、児童生徒のもっている力を十分に発揮させるためにはどうしたらよいのか。手段を変えたり、言葉かけを変えてみたりするなど、目の前にいる児童生徒にあったかかわり方の工夫をする必要がある。
○ 児童生徒からの欲求やサインを見落とさないで適切な支援をすることによって、児童生徒は変容していく。そのためにはその変容を適切にとらえる目を、教師は養っていかなければいけない。
○ この実践研究は一人一人の児童生徒の伸長を目指しているものである。しかし、同時に教師自身の指導力や指導方法を高めることも目的としている。教師同士が、お互いの考えを出し合い検討する中で、自分自身の気付きにもつながっていくはずである。今後も児童生徒の姿を見失うことなく、更なる議論・検討を積み重ね、児童生徒が生き生きと成長していけるように努力していきたい。
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