教育福島0213号(1998年(H10)09月)-039page

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ンを教師が見落としている状況においては、本来主体となるべき子供とのかかわり合いが不十分になることも考えられる。そこで、もう一度、かかわりを見直しながら、子供が「やってみたい」と思えるような活動を展開していくためにはどうしたらよいかを話し合い、深めていくことにした。

1 研究仮説

遊びなどの学習の中で教師が子供の気持ちをくみ取り、子供も教師を受け入れ、お互いの意思をわかり合える関係になれば、子供が安心して課題に取り組み、生き生きと活動するのではないか。

2 指導実践事例

子供の不断の生活や学習の様子を把握し、「かかわりの手だての話し合い→実践→手だての再検討→実践」を繰り返してきた。

ここでは、小学部に在籍しているK児の指導事例について報告する。

(1) 初期的アプローチ

実態

・ 登校後、教室に向かわず、様々な場所で遊びをはじめてしまい、一日中教室に戻ってこないこともある。

・ 指示に対し「やだ。」「ビー。」と言って動こうとしない。

手だて

1) 登校時、昇降口から教室に着くまで、K児の行動を規制しない。

2) K児に一緒について行きK児の遊びに入っていく。

3) 意識して登校時にK児とかかわる時間を増やす。

変容

・ 以前と同じように、興味を持ったところへ行くことはあっても、そこでの遊びは短くなった。また、担任が「教室へ行こうか」と頃合いを見計らって声をかけたときに、素直に受け入れたことが二・三度あった。

・ 朝の時間を担任と一緒に過ごしてきたことで、K児自ら担任に対して一緒に遊ぼうと行動や言葉でかかわりを求めてくることが多くなった。

・ 担任は、K児が本当に興味・関心をもっている活動や遊びを、ほぼ把握することができた。

 

(2) 次へのステップ

実態

・ K児が取り組みたい活動と担任が今、K児に取り組ませたい活動が異なってしまうため、K児は取り組む意欲や興味がもてないでいる。

・ K児は他学部や他学年の教室やフロアーを歩き回って、一人遊びをし、なかなか教室を核とした行動がとれない。

手だて

1) K児が好きな相撲やでんぐり返しができるように教室にマットを準備しておく。登校後、担任は一緒に遊び、関係を深めていく。(他にタイヤブランコを設置)

2) 担任が取り組ませたいと考える活動を前面に出すことをせず、まずK児が興味をもっている活動を行うことにより意欲をわかせ、そこへ担任の意図する要素を少しずつ加えていく。

変容

・ これまでは、教室に来る前に、他学年のフロアーにおいて一人ででんぐり返しや相撲の模倣をしていて、たまに通りすがりの教師が相手をしてくれるのを期待しているようであった。だが、担任がいつも自分の相手をしてくれることがK児にもわかり、一緒に遊ぶことがより楽しいと感じられるようになってきていることが、K児の行動や発言からうかがい知ることができる。

・ 担任と一緒でなくとも、タイヤブランコで遊んだり、ビデオを見たりするなどして、教室で遊ぶ姿が増えてきた。

・ タイヤブランコ遊びでは、少しではあるが、友達同士のかかわりも見られた。

 

修学旅行での水族館見学

 

修学旅行での水族館見学

 

 

 


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