教育福島0213号(1998年(H10)09月)-042page

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養護教育センター通信

障害のある子供の教育相談

早期教育相談

 

1) なぜ、早期教育相談か

 

1) なぜ、早期教育相談か

 

子供が三歳で保育園に入ったところ、保母さんに障害があるのではないかと言われ、誰にも相談できず一人で悩みました。こちらに相談に来て、いろいろ話を聞いてもらううち気持ちが楽になりました。母親としてできることが思っていたよりたくさんあることに気付き、子供の成長が楽しみになってきました。

 

これは、当センターに相談に訪れた母親が、相談の中で話していた内容の要約です。子供に障害があると分かったときのただならぬ心情と、育児の喜びや苦しみなどの中から得られたもの、心情の変化が伝わってきます。

障害児教育を考えるときに、障害の早期発見と早期からの教育的かかわりが重要であることは、言うまでもないことです。実際に、保健所(平成九年からは各市町村)で実施している乳幼児検診事業は、早期発見と早期療育を進める上で効果的に機能しており、教育の場においても早期教育の重要性が確認され、障害児保育や就学前指導が行われてきています。また、子供一人一人を大切にした教育や福祉的ケアの重要性から、例えば学校のトイレやスロープなどの施設面、在宅ケアなどの制度面等の充実が図られつつあります。このように、福祉も教育も、障害そのものや障害のある人への対応・対策に力を入れてきました。しかし、障害のある本人の毎日の生活に非常に重要な役割を果たしている保護者や家族への対応は十分とはいえません。障害のある本人に独自の福祉的、教育的ニーズがあるのと同様に、その親と家族にも特有のニーズがあるのです。

我が子の発達に遅れがあるのではないかと気付いた時点、あるいは医師や保健婦などから障害について指摘された時点の、保護者や家族の心情を理解し、支え、援助することが大切なのです。保護者や家族への支援が、ひいては障害児の生活のし易さにつながり、さらに、養育や教育が適切になされることにつながります。

 

2) 早期教育相談の観点

 

一 保護者の支援

障害児・者(〇歳〜二十二歳)の保護者(三六五名の母親、二十一名の父親、二名の姉)の意識調査(愛甲、一九九七)によれば、子育ての大変な時期は、〇歳〜三歳までが最も多く、次いで四歳〜六歳になっています。〇歳〜三歳の時期は障害があることにショックを受け、保護者の悩みや不安の高い時期であり、四歳〜六歳は早期教育や就学の時期に当たるため、それぞれ大変と感じるのは当然と思われます。また、支援の必要を感じていた人は八十七%、現在も悩みやストレスを抱いている人は九十七%に達していることから、保護者に対する早期からの教育相談を通した支援の重要性を感じます。次の図は、障害のある子供の保護者の心情の変化を表したものです。

当センターには、就学を控えた五歳児が九月から十二月にかけて、相談に訪れることが

 

 

 


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