教育福島0214号(1998年(H10)07月)-008page

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特集1

 

学習障害児(LD)等の理解と指導

−学習上特別な配慮が必要な子供たち−

養護教育課

 

はじめに

 

近年の傾向として、学習障害や行動障害など、学習上のつまずきや困難、行動上の問題を有する子供たちへの関心が広がり、養護教育センター等の教育相談機関では相談件数の増加が見られます。また、各種研修会や講習会では、これらの子供たちに対する具体的な対応の在り方について指導や援助を求める声が数多く聞かれるようになってきています。

そのため、本県では、平成五年度から、小・中学校の通常の学級で軽度の障害児を担当している教員を対象として、「軽度障害児指導法セミナー」を県内六ヵ所で開催し、学習障害児等を含む軽度障害児に対する指導について研修を行い、教育現場の理解啓発を図っています。

なお、文部省では平成八年三月に、学習障害児等についての理解啓発を図るための教師向けリーフレット「学習障害(LD)児等の理解に向けて」を、翌年四月には教師用指導資料として同名の一問一答集を作成し、小・中学校を中心に関係機関に配布しています。

 

一 学習障害とは

 

文部省の「学習障害及びこれに類似する学習上の困難を有する児童生徒の指導方法に関する調査研究協力者会議」から、平成七年三月に出された「学習障害児等に対する指導について」の中間報告では、様々な観点から学習障害児等の指導について提言していますが、その一つとして、学習障害等のある児童生徒の学校教育の改善・充実という観点から、学習障害の定義を次のように示しています。

 

学習障害とは、基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力の習得と使用に著しい困難を示す、様々な障害を指すものである。

学習障害は、その背景として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、その障害に起因する学習上の特異な困難は、主として学齢期に顕在化するが、学齢期を過ぎるまで明らかにならないこともある。

学習障害は、視覚障害、聴覚障害、精神薄弱、情緒障害などの状態や、家庭、学校、地域社会などの環境的な要因が直接の原因となるものではないがそうした状態や要因とともに生じる可能性はある。また、行動の自己調整、対人関係などにおける問題が学習障害に伴う形で現れることもある。

 

(「学習障害児等に対する指導について(中間報告、平成七年三月)」より抜粋)

 

以下、この定義について、簡単に説明を加えることにします。

1 知的発達との関係

個別式知能検査などの結果を詳しく見てみると、言語能力など特定の能力に遅れている面があっても、総体的には、全体的な知的発達に遅れはないことを示しています。

2 特定の能力の習得と使用の困難について

学習障害は、「聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する」など、すべての能力の習得と使用に著しい困難を示すものではなく、特定の能力の習得と使用に著しい困難を示すものを指しています。(図1)

3 原因について

学習障害が、中枢神経系のどの

 

 

 


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