教育福島0214号(1998年(H10)07月)-010page
ます。
なお、個に応じた指導とは、教師が子供と一対一で指導を行う個別指導だけを意味するものではなく、個別の指導計画等を作成した上で、集団指導の場面でその子供に個別に指導・助言を行ったり、教材・教具の工夫を行ったりするなどの個別の指導上の配慮を含むことを意味します。
2「個別の指導計画」の作成
他の子供と同一の指導内容・方法や教材・教具による指導を行うだけでは、十分な効果をあげることができない場合が少なくありません。したがって、個々の子供の特性や問題点を踏まえた上で、指導内容・方法の工夫、指導内容ごとの具体的な配慮事項や援助方法などを盛り込んだ「個別の指導計画」を作成することが重要です。
3 学習障害児等に対する指導上の留意点
〜子供の長所を伸ばそう〜
学習上のつまずきや困難、行動上の問題に応じた指導内容・方法の工夫においては、子供の短所や困難などの弱い部分に焦点が当てられがちになる場合が多く、このことがあまり強調されすぎると、子供に失敗感や挫折感を強く抱かせたり、時には学習に対する意欲を失わせたりすることにもなりかねません。
したがって、子供の示している弱い部分に着目するのではなく、長所や得意な面に目を向けてそれらを伸ばし、さらにこの点を生かして、短所や不得意な面を補っていく指導内容・方法を十分工夫することが大切です。
これらのことに留意しながら、次のような手法が有効であると考えられます。
1) 指導内容のスモールステップ化を図る
指導内容を細分化し、いくつかのステップに分けて、順に提示する。
2) 教材の具体化を図る
抽象性の高い内容は、必要に応じて具体的な教材を補う。
3) 学習の速度に配慮する
他の子供よりも、ゆっくりと丁寧に指導する。
4) 繰り返し指導する
基礎的.基本的事項の理解の定着が図られるよう、繰り返し指導する。
5) フィードバックする
学習の経過や成果を、本人にわかりやすく伝える。
四 指導上必要な特別な援助や配慮
学習上のつまずきや困難の状況は、本人だけの問題で生じているばかりでなく、実は、本人を取り巻く教師、友達、家庭、地域社会といった周囲の環境との関係で、つまずきや困難が大きくなったり小さくなったりするものです。そのため、本人への援助や配慮とともに、周囲の援助や配慮も大切になってきます。
1 本人に対する援助や配慮の基本
(1) 学級における指導の配慮事項
学習障害児等は、みんなと同じように学習を進めることができない、学習内容を理解することができないということを自分で認識できるために、やる気をなくしたり、強いコンプレックスを抱いたりしがちです。したがって、具体的な指導を行う際には、本人に対する心の支えが重要になります。
1) 成就感をもたせる。
・ 子供のできることから始める。
・ 小さなことでも認め、できたことは具体的にほめる。
2) 見通しをもたせる。
・ 一日の予定を知らせたり、学習の手順・方法を一緒に考えたりする。
・ 学習に具体的なめあてをもたせる。
3) 自信をもたせる。
・ 子供の得意なことを認め、自信をもたせるようにする。
・ 得意な面を伸ばし、やればできるという気持ちを育てる。
4) 自律性を高める。
・ 具体的な目安を示すなどして、自分で判断できるようにする。
・ 係活動などをやり遂げることができるように工夫する。
(2) 二次的なつまずきや困難への対応
学習上のつまずきや困難が、