教育福島0214号(1998年(H10)07月)-011page

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場合によっては、気が散りやすい、意欲や自信の喪失、引っ込み思案など、二次的なつまずきや困難へと発展してしまうこともありますので、十分把握し、予防するように心がけるとともに、主体性やプライドを重視して、行動の原因や改善の具体的な手だてを探ることにより対応していくことが考えられます。

 

2 周囲の環境に対する援助や配慮の基本

(1) 学校内の他の子供への援助と配慮

学習障害児等の障害の状態は、他の子供たちには理解が難しいこともあって、学習障害児等の中には、友達関係がうまくいかず、いじめの対象になっている子供や不登校の状態に陥っている子供がいることが指摘されています。このため、学級担任は、一人一人の子供を、みんなで認めあったり、自分の考えを自由に述べ合ったりすることができるような学級経営に日頃から努めることが大切です。

一般に、学級内の他の子供への援助や配慮が適切な場合には、本人に現れる学習上のつまずきや困難、気になる行動が大きく軽減されることになります。しかし、この逆の場合には、本人の状況を更に悪化させることになってしまいます。他の子供への援助や配慮の具体的事項は次のとおりです。

 

・ 一人一人の個性や違いを大切にする心を育てる。

・ 子供同士の協力関係を形成し必要に応じて、援助や協力が得られるように工夫する。

・ グループ内における学習の仕方について指導する。

・ 学習障害児等に対して特別な指導や配慮を行うことについて他の子供たちの理解を促す。

・ 学習障害児等に対する適切なかかわり方を援助する。

 

(2) 学校内の協力体制の確立

学習障害児等の指導に当たっては、学校生活全般にわたる個別の援助や配慮が必要です。学級担任による学級内の対応だけではなく、個別の援助や配慮の重要性を全教職員が認識し、共通理解の下に、次のような点に留意して学校全体の協力体制を確立することが大切です。

 

・ 他の学級の担任や専科教員、養護教諭の理解と協力

・ 特殊学級担任等との連携

・ 特殊学級や通級指導教室の活用

・ チームによる指導体制づくり

・ 学習障害などについての校内研修会、事例検討会の充実

 

(3) 家庭との連携

望ましい学習態度の形成、個々の学習上のつまずきや困難の改善に当たっては、家庭での支援が特に重要であり、学校と家庭双方の連絡を密にして情報交換を行い、適切に対応することが大切になります。また、学習障害児等に対する特別な指導や配慮を行うことについて、他の子供の保護者に理解を得ることも大切です。

 

・ 学校での対応の方針や具体的な方法などについて理解を得る。

・ 学校での子供の変容の様子について丁寧に伝える。

・ 子供の教育に関する保護者の要望を誠実に聞く。

・ 家庭における子供の行動やその対応の様子を把握する。

・ 保護者に対して、具体的な対応の方法についての情報を提供する。

 

五 養護教育センターにおける相談の状況

 

養護教育センターの教育相談では、平成六年度以降、学習障害等を含む情緒障害の相談件数が全相談件数の五〇%以上を占めるようになってきています。(表1)

情緒障害を更に細かく分類すると、学習障害児等の相談件数は増加の傾向にあります。(表2)

相談の主な内容は、1)落ち着きがない、2)友達に乱暴する、3)読み書きなどの特定の学習が困難で、学習が遅れがちであるなどがあげられます。特に行動上の問題に関する相談が多く見られます。

学習障害児等の多くは、小・中

 

 

 


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