教育福島0214号(1998年(H10)07月)-015page
おわりに
学習障害の定義を含め、学習障害児等の指導の在り方については、文部省の調査研究協力者会議で継続して検討が行われているところであり、すべてが明らかになっている段階ではありません。しかし、こうした子供を正しく理解することは、学習障害児等に対する対応の改善につながるばかりではなく、今日的な課題となっている個に応じた指導の充実のためにも意義深いことです。
これまで、学習障害の特徴と指導上の配慮事項、指導事例を述べてきましたが、一人一人の学習障害児等の示す学習上のつまずきや困難の状況は様々です。したがって、その対応の方法については、ある決まった一つの指導法があるというわけではありません。個々の子供の学習上のつまずきや困難の状況を具体的に把握し、指導の手だてを探っていくことが大切です。指導に当たっては、学習障害かどうかをはっきりさせるということよりも、むしろ、まず一人一人の子供を見つめる、あるいは、そこから指導の在り方を探るという姿勢が重要だと言えます。