教育福島0214号(1998年(H10)07月)-035page

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地域社会を学習活動の場に

福島県立猪苗代養護学校

 

本校は、知的障害のある子供たちを対象とする養護学校で、創立二十周年を迎えました。二十八名の小・中学部生が、福島県ばんだい学園や猪苗代町及び周辺の町村から通学しています。

本校では、障害の状態を改善・克服し、社会で生き抜く力を培うため、地域社会を重要な活動の場として捉えています。ここでは、その取り組みの一端を紹介します。

 

・豊かな自然環境で情操を育む

健康で豊かな心を育てるために、自然や季節を生かした行事や活動(魚つかみ、そり教室、湖水浴、クルージング等)を行っています。

また、『校外歩行運動コース』も多種多様で、周辺の施設・史跡(緑の村、町営牧場、釣り堀、三忠碑、昭和の森、磐梯青年の家等)を社会体験学習の貴重な場として、幅広く活用しています。

 

・社会体験を広げる交流活動

地域の学校間交流では、小学部は翁島小学校と中学部は猪苗代中学校との交流を毎年行っています。

また、遠く離れた郡山市立安積第二中学校や若松女子高等学校との交流は、十年以上続いています。

本年から、県立会津第二高等学校生とのふれあい交流を実施し、一緒に清掃や食事、ダンスやゲーム、調理などで楽しく過ごしました。共同制作コーナーでは、互いに協力し合って、工夫を重ねた楽しい作品を作り上げたグループもありました。

 

猪苗代中との交流プール活動

 

猪苗代中との交流プール活動

 

・地域の方々と共に歩む

地域の方々との交流は、校外活動として、ごく自然な形で、日常的・計画的に行われていますが、更に協力と理解を得るため、本校の活動内容等を紹介した学校新聞等を地域の方々へ配付しています。

また、地域の農家の方々のご協力で、広々とした畑で楽しく野菜つくりをしています。みんな一緒に汗を流し、じゃがいも、さつまいもなど、約二十種類もの野菜を収穫したり、ハーブの栽培も行い、匂い袋等の製品に仕上げたりしています。

年二回の中学部現場実習は、卒業生の進路・就職につながる大事な活動です。猪苗代町内等の企業や作業所のご協力が本校生の社会参加と自立を支えています。

他に、毎年、学習活動の一貫として、地元の温泉やスキー場を利用したり、猪苗代フェスティバルに絵画などの作品や作業学習で作った作品を出展しています。また、本校の運動会や発表会には、地域の方々が多数来校され、本校生の演技や作品をご覧いただいています。特に好評なのが、約二十年続いている版画カレンダーです。描画から印刷・製本まで全て子供たちの手作り作品なので、毎年、でき上がるのを楽しみにされている方が大勢います。

 

スキー場でのそり教室

 

スキー場でのそり教室

 

・一人一人を大切にする指導

全職員が子供たち一人一人を理解するために、年度当初に、子供たちの特性、留意点、到達目標のご覧表とを作成して、個別指導の徹底を図っています。さらに、週一度行われる学部会で、子供たちの活動の様子の情報交換を行い、指導法について話し合っています。

また、毎週月曜日の全校集会活動では、ゲームやダンス、マスゲームなどを行い、全職員で子供たちの指導にあたり、子供たち一人一人の個性を把握するようにしています。休み時間などでは、学級や学部の粋を越えて、子供たちが一緒に遊び、多彩なかかわりや人間関係を通し、子供たち一人一人の成長を促すようにしています。

 

 

 


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