教育福島0215号(1998年(H10)11月)-020page

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シャリスト(言語訓練、精神医学、体育、音楽、美術、移動訓練)がいて、指導に当たっています。大学進学率は、五〜一〇%ですが、ちなみに普通校にいる視覚障害者の進学率は約五〇%だそうです。

校内を見学している時、日本ならほとんどの盲学校にある点字ブロックがないことに山崎君(盲学校生徒)が気付き、案内をしてくれた副校長にそのことを質問しました。

副校長の説明は次のようなものでした。

「子供たちが出ていく一般社会の道路には、ほとんど点字ブロックがない。そういう社会現場で自立した移動ができるように、校内では白杖による歩行訓練を行っている。ただ、校内に一か所だけ横断歩道のところに点字ブロックがある。」

実際、バークレーやサンフランシスコの街を歩く体験研修で見つけた点字ブロックは、地下鉄バートのプラットホームだけでした。

 

▲BART(バート)

 

▲BART(バート)

サンフランシスコ市とバークレー市等を結ぶ地下鉄です。車いすや自転車でも利用できます。20年前にできたものとは思えないくらいの最新設備でした。

 

▲バスに乗る車いす使用団員

 

▲バスに乗る車いす使用団員

アメリカのバスのほとんどは、車いすが利用できるようになっています。

 

聾学校

 

〜校内に職業安定所がある〜

生徒数約五百人(三歳から二十二歳)に対して、七十五人の教師で指導に当たっています。教師の半数は、聾者です。

○〜二歳までの聴覚障害乳幼児に対しては、聾学校の教師が家庭を訪問して指導に当たっています。

卒業生のほとんどが、トータルコミュニケーションで有名な聾者のためのギャローデット大学に進学しています。

また、聾学校の中に『職業安定所』が設けられ、在校生や卒業生のために、各種職業の情報提供や紹介がなされています。卒業生の中に、NASA(アメリカ航空宇宙局)で働いているエンジニアがいると、案内してくれた先生が、誇らしげに説明してくれました。

 

五 おわりに

 

(1) 盲・聾・養護学校と高校生との交流

県教育委員会では、新世紀ふくしまを担う「明るく個性豊かな人間の育成」を基本目標に、重点施策の一つとして「養護教育の充実」をあげています。その中の大きな指導の柱として、「教育内容・方法の改善充実」において、「交流教育の推進」を位置づけています。

今回、米国での研修は、盲・聾・養護学校生徒と高校生の交流もねらいとして実施しましたが、参加者同士の交流の様子や感想を聞くとその目的は十分に達成されました。

 

(2) 研修を終えて

盲・聾・養護学校の生徒たちは、研修全般を通じて積極的に活動し、多様な集団の中で協調して生活する自信と自らの将来の展望について視野を広げることができました。

また、高等学校の生徒は、聴覚障害生徒等に対しての手話通訳に進んで取り組む等、障害者に対する理解と親密な友情を培い、将来の継続的な交流が期待できる信頼関係を築くことができたようです。

障害のあるなしにかかわらず、団員は、多様な障害者を含む、一般参加者とも積極的に交流し、多くのことを学び取ってくれたものと確信しています。

 

 

 


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