教育福島0215号(1998年(H10)11月)-030page

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私のテーマ

阿部正明

 

ことが今の自分を形づくっているのかというテーマを漠然と抱き、描いていた。

 

数年前、「記憶の回廊」というシリーズで、絵を描いていた。入り組んだ回廊の奥深くに記憶の存在をほのめかし、回廊の入り口に子供の姿をした私がたたずんでいるという構図である。過去のどんなことが今の自分を形づくっているのかというテーマを漠然と抱き、描いていた。

今、そのテーマについて思い至ることがひとつある。私がこれまでに出会った地域の人々の存在である。

息子たちを連れ、サイクリングを楽しんでいたときである。道みちあいさつを交わしながら地域を巡っていると、出会った方々の温かい言葉が、過去の記憶を呼び覚まし、少年時代に出会った方々の温かい言葉の響きまで鮮やかに蘇えらせた。そして、交わす言葉の奥深くから、共によりよく生きようという思いが伝わってくるのをはっきりと感じた。思いやりにも似たその優しさは、自分の子供時代から脈々と息づいていた。そのことに改めて気付き、かみしめながら、地域への一層の愛着と信頼を実感していた。

私には、生まれ育ったこの地域のほかにも、教員として赴任し生活してきた地域がある。現在は、飯野町に通勤しているが、教師という立場から子供たちには人との出会いを大切にしてほしいと願っている。

幸いにも、この町の子供たちには、貴重な経験ができる人との出会いの場があった。はるばるオーストラリアから訪れた、トニー先生との国際交流学習である。

出迎える子供たちの歓声が、玄関に明るく響く。そして、スポーツをしたり、季節の行事を催したりと、子供たちは多彩な活動で交流を楽しむ。

「わたしは、教えること大好き!」と言うトニー先生の誠実さや地域に溶け込もうとする姿勢にふれ、言葉や文化は違っても、人と関わる喜びを味わえるのは同じであると嬉しく思った。地域の人々と同様に、トニー先生との出会いもまた、子供たちの将来にどのようなよい影響を与えてくれるのかが楽しみである。

「記憶の回廊」のテーマは、教師である私にとって、どのような経験が子供たちの未来に生きるのかを考えることでもある。無為にも見える人々の営みに目を向けながら、人の思いや人とのつながりを大切にできる心を育んであげたい。

(飯野町立青木小学校教諭)

 

平成11・12年度「教育改革モニター」の募集

 

1 趣旨

広く県民から、意見、要望等を聴取し、文部省の諸施設の立案・検討・具体化に反映させます。

 

2 仕事

臨時教育審議会の答申に基づき、具体化しようとする教育改革に関する施策のうち文部省から依頼されたテーマについて、教育改革モニターの周辺、地域(家庭、近隣、勤務先等)の方々の意見も聴取のうえ、教育モニターとしての意見等をまとめ文書によって提出していただきます。

 

3 募集人員等

2名(非就業者1名・教員1名)程度

依頼期間(2年)

 

4 応募資格

教育改革について関心がある年齢20歳以上の方

ただし、次の方は応募できません。

(1)国会議員及び地方公共団体の議会議員

(2)常勤の国家公務員及び地方公務員

※ただし、校長及び教員は応募できます。

(3)行政相談委員法による行政相談委員

 

5 「募集要項並びにモニター申込書」用紙の請求方法

直接下記の申込先で受け取るか、または80円切手を貼った返信用封筒(宛名明記)を同封して、申込先へ請求していただきます。

 

6 申込先

福島県教育庁総務課広報調査係

〒960-8688 福島市杉妻町2番6号

TEL 024-521-7758 (直通)

 

7 申込み締切日

平成11年2月4日(木)

(郵送する場合は、2月4日の消印有効です。)

 

8 選考結果

平成11年度当初に文部省で決定し、直接本人に通知いたします。

 

 

 


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