教育福島0216号(1999年(H11)01月)-018page
環境問題と関連づけた
「水溶液の性質とはたらき」の指導
相馬市立山上小学校教諭 小関洋
一 研究の趣旨
1 研究の動機とねらい
学校教育で環境教育が必要であることが言われはじめ、各学校でも少しずつ実践されるようになってきた。酸性雨調査もその一つである。事実、私たちの地域でも酸性雨が降っているので、「私たちの身近な問題」として意識づけるためには大変良い試みである。
しかし、「酸性雨のしくみ」や「酸性・pHといった化学用語の説明」「酸性の影響」などまで関連して教えなければ、その問題の大きさに気付かせることはできない。だからといってそれらを教えるとなると内容が多く、指導時間の確保や指導内容の選択が難しくなってくる。
一方、六年の理科で酸やアルカリを学ぶ「水溶液の性質とはたらき」の学習では、塩酸やアンモニア水などの薬品を使用する。しかし、児童には日常生活でほとんど目にすることのないものだけに、自然の中でどのような現象として現れるかを考えさせることが難しいし、また、なぜ学習するのかといった学習の意義を理解させることも難しい。
そこで、「酸性雨」の学習と「水溶液の性質とはたらき」の学習を関連させることができれば、児童に学習の必要性を感じさせ、自然に対する関心や態度を育てながら環境問題にも触れさせることができる。更に、化学的な変化や用語なども学ばせることができ、効果的かつ効率的な学習ができるのではないかと考え、本主題を設定した。
2 指導の問題点
(1) 酸性雨は深刻な問題であるという認識がない。
(2) 酸性雨調査だけでは、酸性雨の影響のすごさが分からない。
(3) 酸性雨に関して、教科書では腐蝕した銅像の写真と読み物という形でしか扱われていない。
(4) 水溶液の性質やはたらきが自然の中でどのような現象として現れるか考えさせることが難しい。
3 原 因
(1) 児童の酸性雨に関する基礎知識がない。
(2) 化学用語を理解したり酸性雨の影響を実際に確かめたりするには、時間を必要とする。
(3) 指導書の中に酸性雨に関する内容がない。
(4) 塩酸やアンモニア水などが、日常ほとんど使われていない。
二 研究仮設
1 仮設
酸性雨をきっかけとして生まれる児童の疑問を解決していく指導過程を組めば、水溶液の性質とはたらきの学習への関心を高めるとともに、酸性雨の特性が分かり、酸性雨は深刻な環境問題であることに気付かせることができるであろう。
2 概念規定(省略)
三 研究計画(省略)
四 研究の実際と考察(一部省略)
1 指導の構想
導入で枯れ木の出の写真や酸性雨つららの写真を提示する。そして、酸性雨に興味・関心を持たせ、調べ学習に入る。調べていく中で酸性・アルカリ性、pH、リトマス紙といった化学用語への学習のきっかけをつくる。そして、それらの用語を教えていくことによって、私たちの周りで降っている雨を調べたいという活動だけでなく、身の回りにある水溶液を調べる学習などへも広げることができると考えた。