教育福島0216号(1999年(H11)01月)-021page

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その中でも酸性をアルカリ性や中性にできるものは少なかった。そう簡単には酸性雨をなくせないので、もしこの辺に降って木を枯らしてしまったら大変だから工場の煙などを無くして自然を大事にしてほしいと思った。

イ 水を足した方法に関する疑問が二名。

水を混ぜても変化がないことにびっくりした。ジュースなどはすぐ薄くなるから。

ウ 実験の感想が五名。

いろいろな方法をやったけど、中性にもどすのは少なかった。中性にしようと思ったのに、アルカリ性になって少し残念だった。

工 その他が六名。

〔考察〕

水を加えても変化しない事実も含め、中性にする難しさを感じ取らせることができた。そのため酸性雨を心配する感想も出てきたと思われる。

以上のことから、酸性雨は深刻な問題であるととらえさせることができた。

【検証3】単元終了後のアンケート。(一部省略)

(1) 酸性雨の被害を無くすにはどうすればよいと思いますか。

1) もとから絶つ意見が十八名。

工場や車の排気ガスを少なくする。近いところは歩く。

2) 事後処理に関するものが四名。

石灰をまくなど。

3) その他が一名。

森林を大切にする。

(2) あなたは酸性雨をどう思いますか。

1) 恐ろしいものととらえているものが十七名。

いやな雨。危険なもの。自然を破壊するもの。降らないようにしたい。

2) 人間が悪いととらえているものが三名。

人間が自分で出したもの。酸性雨は人間の楽の代わりに降る不幸だと思う。いやな雨だと思うけどそうしているのは人間だから何も文句は言えないと思う。

(3) 十六時間を学習しての感想。

1) 酸性雨についてが十三名。

酸性雨が降って被害があるなんて知らなかった。煙は空気を汚すだけでなくこういったことが起きている事を知った。酸性雨を早くなくさないと大変なことになると思った。酸性雨が山上にも降っていたのでびっくりした。物を溶かすからこわいと思った。もっと多くの人に知ってもらいたいと思った。これからどうやったら酸性雨を減らしていけるか考えたい。解決方法が分かって良かった。酸性雨で物が溶けることは知っていたけど、なぜかはっきりしたから良かった。

2) 学習に関してが七名。

難しいところもあったけど分かりやすいところもあった。とてもいい学習だった。いろいろ勉強になったが、まだ分からないことがある。

(4) 考察

酸性雨の被害をなくすにはそのもとを絶つ意見を二十名中十八名が答えた。これは酸性雨の規模の大きさだけでなく、事後処理の方法に限界を感じているものと思われる。

酸性雨に対しては、恐ろしいと感じている児童が多い。これは、物を溶かしたり、植物を枯らしたりすることを実際に確かめたためである。また、自分たち人間が原因であることも三名が感じていた。最後の感想には、酸性雨に関する驚き、酸性雨の被害を無くす必要性、学習した喜びなども書かれていた。

このことから、酸性雨が児童の「身近な問題」とし取り組ませることができたと思われる。

 

五 成果と今後の課題

1 成果

(1) 「水溶液の性質とはたらき」の学習内容を、自然の中での現象と結びつけて考えさせることができたため、学習内容を身近に感じさせることができただけでなく、自然に対する関心も高めることができた。

(2) 酸性雨に関する児童の疑問を解決させたことにより、酸性雨は深刻な問題であるという認識をもたせることができた。

(3) 山間部の山土地区の環境も、悪い影響を受け始めていることをわからせることができたため環境問題への関心を高めることができた。

2 課 題

(1) 指導時数が増えるため、他の単元との指導時数の調整が必要である。

(2) 酸性雨は自分たちの文化的な生活の代償であるため、酸性雨の被害を無くすことは簡単ではないことを、他の時間を利用して考えさせていく必要がある。

 

 

 


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