教育福島0216号(1999年(H11)01月)-032page

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例関係をもつ「五円チョコの数と代金」。表Bは、直線的な比例ではないが、一定のきまりをもつ「正方形の辺と面積」。この二つの表を比較させる導入を行った。しかし、表AのY=X2だけでなく、表BのY=Xも一定のきまりをもっているために、児童に混乱をあたえてしまった。

5 改善を図った学習活動の実際《改善の具体的な手だて》

〇「正方形の一辺と面積」の関係ではなく、一定の関係の見つからない「植物の発芽からの日数と伸び」をまとめた表Cと、表 Aとを比較させた。

《改善の成果》

1)「八個の代金と八日後の植物の伸びはいくらになるか」「どちらが簡単に求められるか」という比較思考によって、表Aにはきまりがあることを無理なく児童にとらえさせることができた。その上で課題を提示する方が、どの子も主体的にそのきまりを調べることができた。

2) 表Aと表Cを比べるという比較思考によって、考えをしっかりともつことができ、ノート作りが充実した。このノートに書かれた考えを生かすことによって、比例の意味について練り上げていくことができた。

 

《実践三》(算数科 第三学年)

「生活経験を取り入れた教材と具体的な操作活動の工夫」

1 単元名 重さ(省略)

 

《実践四》(国語科 第三学年)

「ノート作りとノートを生かした意図的な指名による練り上げの場の充実」

 

1 単元名 場面の様子を想像しながら

『ちいちゃんのかげおくり』

2 単元目標・指導計画(省略)

3 本時の課題

「一人でかげおくりをするちいちゃんの様子を読み取る」

4 昨年度の指導記録からの反省

これまでは、授業の導入で課題をつかませた後に、一人学びの時間が十分確保されていなかったり、漠然と教材文を読みサイドラインを引く程度で終わったりしてしまうことが多かった。そのため、課題に対して「私はこう考える」ということがしっかりしない段階で、練り上げの活動に入ってしまうことが多かった。話し合いの場面の教師の指名も、挙手や前時までの発言などをもとに指名していた。

その結果、T-C1-T-C2という一問一答方式の話し合いとなってしまったり、一部の児童の発言に多くの児童が安易に同調してしまったりしたために、思考活動が深まらなかった。

5 改善を図った学習活動の実際

《改善の具体的な手だて》

〇 自分の現在の能力で、自分の活動の世界を作り出すことのできる場として、課題把握の後にノート作りの時間を確保した。

〇 机間指導の際にノートに書かれたそれぞれの考えを座席表に記録し、どの考えをどの順序で発表させれば、読みが深められるかという指名の順序を立てた。

《改善の成果》

1) ノート作りの時間の確保によって、児童一人一人に学習に参加しているという実感をもたせることができた。

2) 適切な意見だけではなく、意図的に叙述から離れた考えや読みの浅い考えなども話し合いの前半に出していくことにより、次のような課題に迫るための繰り上げを行うことができた。

 

自分の考えを堂々と

 

自分の考えを堂々と

 

T ちいちゃんは、疲れている体なのに、なぜ立ち上がり「ななあつ、 とお」と数えたのかな。

C1 お母ちゃんたちとかげおくりをしなくちゃと思ったからかな。

C2 かげおくりをぜったいしなくちゃと思っているんだよ。

C3 これをやればきっとお母ちゃんたちと会える。がんばらなくちゃって、思っているんだよ。

3) 下位の児童だけではなく、上位の児童も練り上げをとおして様々な考えがあることに気づき、課題に対するより優れたまとめを行うことができた。

 

 

 


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