教育福島0216号(1999年(H11)01月)-036page
研究実践
「身近な環境にかかわりながら、主体的に遊べる子どもを育てるための援助はどのようにしたらよいか」
岩代町立新殿幼稚園
一 研究主題設定の理由
幼児期の育ちは、人間としての健全な発達や社会の変化に主体的に対応できる能力を培う上で、基礎になるものであると言われている。
本園での幼児の日常生活から、次のような問題点が見えてくる。
〇テレビやファミコンが幼児の生活に入り込み、直接体験が少ない。
〇少子化により、親や祖父母が過保護や過干渉になり、主体性や自立性が充分身に付かず依存的になりがちである。
〇過疎化により同年代での遊びが困難になり、友達とのかかわりの経験が少ない。
以上の問題点を考慮し、幼児自ら環境に働きかけ、自分で行動し工夫して遊べるようになるためには、一人一人の発達や興味・欲求をどのように受け止め、どのような環境の構成や援助をすれば良いか実践を通して探るため標記主題を設定した。
二 研究の見通し
幼稚園生活の中で幼児の興味・関心や育ちを捉え、それらを生かした援助をすれば身近な環境に進んでかかわるようになり、自ら遊びを考えたり工夫したりできるようになるのではないか。
三 研究の内容と方法
(1) 幼児の興味・関心や育ちを探るための幼児理解に努める。
〇幼児が何を感じ、何を考え、今どんなことをしたいのかを言動や表情から捉える。
〇幼児の理解を深めるために職員間で話し合う。
〇家庭との連携を図る。
(2) 幼児が自ら遊びに取り組むための環境の構成や援助の在り方を探る。
〇幼児の興味・関心に応じたいろいろな体験のできる環境づくりをする。
〇幼児の育ちに応じた、具体的な働きかけをする。
四 研究の実践
−自分から環境にかかわっていった例−四歳児五月中旬
〇保育者の願い
いろいろな環境に気づいてかかわってほしい
〇幼児の姿
保育者が作っておいた池に雨水がたまり、N子がその場で、枯れ枝とひもで魚釣りの動きを始めた。A子がやって来て、桜の葉を魚に見立て始めた。
幼児の姿 思い
〇N子とA子がつった魚(桜の葉)を食べるまねをしている。
あっ、おもしろそう。先生のように私もやってみたい。
〇N子「私、魚焼く」
〇A子「箸も皿もないよ」とままごと道具を保育室から持ってくる。
〇N子「お母さん、魚焼けたから食べましょう」
教師の援助 願い・読みとり
○「あら、おいしそう」とそばに行っていっしょに 食べるまねをする。
○「先生は魚を焼いて食べたいな」と網とござを用意して焼く動きを出してみる。
桜の葉を魚に見立てたのはいい考えだな。イメージをふくらませて遊びが続いてほしい。
〇ままごとに参加しながら、様子を見守る。
遊びに楽しさを感じると、自分から必要なものを持ってきて、やろうとするようになっているな。